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激しい汚れでパワーモジュールに異常 ―― 7.5kWインバーターの修理(1)Wired, Weird(2/2 ページ)

知人から7.5kWのインバーターの修理依頼があった。不具合の詳細は不明だったが、内部にエラー履歴も残っているだろうし、現場の情報が入りやすい依頼者なので引き受けることにした。

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クリーニング&電源を補強

 インバーターの不具合状況と原因は確定した。修理としては機器のクリーニングとIGBTモジュールを交換しインバーター内部の電源を補強すればよいだろう。まずは内部を分解してモーターの駆動基板を取り出して、IGBTモジュールの型名を確認した。図3に示す。

図3:インバーターの電源基板のハンダ面(左)、電源基板の部品面(右)
図3:インバーターの電源基板のハンダ面(左)、電源基板の部品面(右)[クリックで拡大]

 図3左はインバーターの電源基板のハンダ面でIGBTモジュールはハンダ面に実装されていた。右は電源基板の部品面だ。部品面に電源生成部とIGBTの制御部が実装されていた。IGBTモジュールの型番からデータシートを探して確認した。図4に示す。

図4:IGBTモジュールの外観図(左)、同じく回路図(右)
図4:IGBTモジュールの外観図(左)、同じく回路図(右)[クリックで拡大]

 図4左はIGBTモジュールの外観図で右は回路図だ。三相電源の整流回路もモジュールの中にあった。最初に確認したときに電源の+端子とU端子が短絡していたが、電源端子はモジュールの14ピンと15ピンでU端子は5ピンと6ピンだ。IGBTモジュールを基板から取り外し、IGBTのカバーを開けて短絡箇所を確認した。

 しかしこの電源基板は熱容量がかなり大きい太いパターンの配線でモジュールをハンダ付けしており、ハンダ吸い取り器ではハンダが溶けず40Wハンダごてを追加してダブルに加熱したらハンダが溶けた。しかし部品面側のハンダは溶けなかった。この作業は中断し、やむを得ずハンダ面からモジュールのリードを切って取り出すことにした。しかしリードが太く、基板とモジュールのギャップが数ミリほどしかない。太い刃のニッパーは使えなかった。ICのリードカット用の細い刃のニッパーを使い、このニッパーを使いつぶす覚悟で、強引にリードを切って何とかパワーモジュールを取り出した。図5に示す。

図5:取り出したモジュールと電源基板のハンダ面
図5:取り出したモジュールと電源基板のハンダ面[クリックで拡大]

 図5は取り出したモジュールと電源基板のハンダ面だ。カットしたリードが短く、基板の熱容量が大きかったので、基板に残ったリードの取り出し作業も大変だった。ハンダ吸い取り器と40Wのハンダごてのダブル加熱でハンダを溶かし、ハンダごてと吸い取り器の先端にリードを挟んで32個のリードを取り出した。その後、スルーホールにドリルで穴を開けて取り付け穴を確保した。破損していたIGBTモジュールを手配したが入手まで時間があるので、パワーモジュールのカバーを開けてモジュール内の不具合箇所を再確認した。

 続きは次回に報告する。

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