SK hynix製メモリも搭載、Huaweiの5Gスマホが業界に波紋:7nmプロセスSoCに続くサプライズ(1/2 ページ)
TechInsightsによると、Huaweiの新型5Gスマートフォン「Mate 60 Pro」にはSMIC製の7nm SoCのほか、韓国SK hynixの12GBのLPDDR5メモリと512GBのNAND型フラッシュメモリも搭載されていたという。
搭載する半導体の3分の2が中国製
Huaweiは2023年8月29日(現地時間)、新型の5G(第5世代移動通信)スマートフォン「Mate 60 Pro」を発表した。このスマホに中国のファウンドリーSMICの7nmプロセスノードで製造された5G SoC(System on Chip)が搭載されていたことが判明。最先端の半導体製造技術における中国のブレークスルーが業界に波紋を広げている。特に、SMICが極端紫外線(EUV)リソグラフィ装置を利用できない状況下でのことであるから、なおさらだ。
業界の各メディアがさらなる詳細を探る一方、中国のソーシャルメディアは半導体技術におけるこのブレークスルーを祝福している。技術調査会社であるTechInsightsのバイスチェアマンを務めるDan Hutcheson氏によると、Mate 60 Proに搭載されたシリコンの3分の2近くは中国産だという。これは大きな進歩だ。
カナダのオタワに拠点を置くTechInsightsは、HuaweiのMate 60 Proの発売以降、同製品の部品を調査してきた。その後、前述の通りSMICの7nmプロセスノードで製造されたHuaweiのSoC「Kirin 9000S」チップが搭載されていることが業界メディアを賑わせていたが、さらに別のサプライズが待ち受けていた。
流通市場から入手?規制前に備蓄の可能性も
TechInsightsは、Mate 60 ProにSMIC製の7nm SoCが搭載されていることを見つけた直後、同製品に韓国SK hynixの12GBのLPDDR5メモリと512GBのNAND型フラッシュメモリ(以下、NANDフラッシュ)が存在することを発見した。実際に、Mate 60 Proを入手した複数のユーザーが、SK hynix製のNANDフラッシュが同機に搭載されているのを確認する動画を投稿している。
SK hynixは直ちに、同社が米国政府の輸出規制を順守していて、Huaweiとは一切取引していないとコメントし、詳細を調べるために調査を開始するとも発表した。
これについては、Huaweiが流通市場からメモリチップを購入した可能性が高い。業界関係者は、米国の輸出規制が始まる直前、Huaweiがメモリチップを備蓄した可能性もあるとしている。
Huaweiのスマホ事業は、米国が2019年、チップ技術が軍事用途に転用されるリスクを理由に技術輸出規制を開始したことで、混乱に陥った。現在、世界中が、「Huaweiがメモリチップをどこから入手したのか」に注目していると同時に、ほとんど中国製部品から構成されている5Gスマホを製造できるHuaweiの能力に対して不安を抱いてもいる。
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