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マイクロプロセッサ(MPU)の知っておくべき8つのポイントマイクロプロセッサQ&Aハンドブック(1)(2/3 ページ)

マイクロプロセッサ(MPU)を使用したボードを開発するユーザーが抱えるさまざまな悩みに対し、マイクロプロセッサメーカーのエンジニアが回答していく連載「マイクロプロセッサQ&Aハンドブック」。初回である今回は、初めてマイクロプロセッサを使用するユーザーがつまずきがちなポイントなどをまとめた8項目の概要を紹介します。

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1.マイクロプロセッサと一緒に使う部品と選び方

 マイクロプロセッサは、製品によって処理性能やペリフェラルの内容が大きく異なります。マルチコアマイクロプロセッサなど、マイコン(MCU)を内包するような製品も存在するため、最適なマイクロプロセッサ選びは容易ではありません。

 また、システムを構成するためにはマイクロプロセッサ以外にも外付け部品が必要です。マイコンには、メモリや電源ICが内蔵されていることが多く、ユーザーが求める付加機能以外で外付け部品について悩むことは比較的少ない印象です。しかし、マイクロプロセッサでは、実行用メモリや記録用メモリ、電源管理ICなどが外付けである場合が多く、それら外付け部品の選定も必要となります。

2.回路設計時の重要ポイント

 マイクロプロセッサでは、高速な動作実行速度を得るために、多くのデバイスで内部コア電圧とIO電圧が分かれています。また、内蔵ペリフェラルごとに個別のクロック周波数で動作させるため、複数のPLLを搭載しており、これらのPLL用にアナログ用電圧を必要とする場合も多いです。内部コア電圧、IO電圧、PLL用電圧など、動作に必要な電源電圧が多岐にわたるため、マイコンに比べて必要な電源電圧の種類も多くなる傾向があります。また、前述の通り、メモリや電源管理ICが外付け部品となる場合が多いため、必要な回路規模が大きくなりがちで、回路設計の難しさにつながっています。

3.基板レイアウト作成時の重要ポイント

 マイクロプロセッサでは、DDRメモリといった高速の実行用メモリが外付け部品となっているデバイスが多いです。高速信号の引き回しには、信号の反射、伝搬遅延やクロストークなどを考慮する必要があり、基板レイアウト作成の難しさにつながっています。

4.基板にあわせて必要なソフトウェアのカスタマイズ項目

 多くのマイコンでは、ソフトウェアが単一のバイナリで完結します。一方でマイクロプロセッサは、ブートローダー、OS(Operating System)、ユーザーアプリケーションといったように各バイナリが分かれています。

 また、マイコンでは、プログラムのソースコード中の構成情報の定義を記載したヘッダファイルを直接編集することで、個別の基板に合わせたカスタマイズが可能です。しかし、マイクロプロセッサの開発ではブートローダーとOSを搭載して使うことがほとんどで、ブートローダーとOSの基板に依存した部分のカスタマイズで直接ソースコードを編集することは少ないです。

 多くの場合、デバイスツリーと呼ばれる基板に依存した部分のカスタマイズを記載した設定ファイルを編集することで、カスタマイズします。また、OSを搭載しているデバイスで使用可能な機能を増やしたい場合、カーネルのカスタマイズが必要です。

5.初めてのボード開発での落とし穴と確認事項

 初めてのボード開発でよく陥る問題として、次のようなものがあります。

  • 起動しない
  • プログラムを記録用メモリに書き込めない
  • 起動時間が遅い

 マイクロプロセッサでは、メモリが外付けのため、メモリに起因した原因で起動しないという問題に遭遇することが多いです。また、初めてのボード開発では、記録用メモリが空でOSが立ち上がっていない状態で、どのように記録用メモリにプログラムを書き込むかという問題もあります。

 マイクロプロセッサでは、記録用メモリから実行用メモリにプログラムをロードしてから実行されます。また、マイクロプロセッサを使用した製品には、搭載される機能が多く、プログラムサイズがマイコンと比べて数十倍〜数百倍以上になることもあります。そのため、プログラムのロードに時間がかかり、起動時間が長くなる傾向にあります。

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