MPUベースのシステムと同等性能を実現する汎用32ビットMCU:開発評価用プラットフォームも提供
STマイクロエレクトロニクスは、汎用32ビットマイクロコントローラー「STM32H7」シリーズに「STM32H7R」「STM32H7S」を追加した。マイクロプロセッサベースのシステムと同等の性能、拡張性、セキュリティ機能を、マイコンで実現している。
STマイクロエレクトロニクスは2024年3月、汎用32ビットマイクロコントローラー「STM32H7」シリーズに、「STM32H7R」「STM32H7S」を追加した。同年4月より量産を開始する。主な用途として、スマート家電、スマートビルコントローラー、FA、コンシューマー向け医療機器などを見込む。
STM32H7シリーズは、最大動作周波数600MHzのArm Cortex-M7コアと、最小限の内蔵メモリ、高速の外部インタフェースを搭載する。高集積のSTM32H7R、STM32H7Sマイコンは、一般的にマイコンよりも複雑とされるマイクロプロセッサベースのシステムと同等の性能、拡張性、セキュリティ機能を備える。電源回路機能も内蔵する。
NeoChrom GPUと高速メモリインタフェースを搭載
メモリインタフェースは、DTR(Double Transfer Rate)規格で最大200MHzで動作し、アプリケーションをシームレスに実行できる。また、高性能コアに加えてNeoChrom GPUを搭載するため、豊富な色とアニメーション、3D効果を備えたグラフィカルユーザーインタフェースを開発できる。
ユーザーインタフェースの動作に使用するのは、メインCPU性能の1割程度になる。そのため、スマートフォンのような感覚で使用しつつ、エッジAI(人工知能)や通信、リアルタイム制御なども実行できる。
パッケージは、低コストの68ピンから最大225ピンまで用意する。汎用の「STM32H7R3」「STM32H7S3」や、グラフィックス処理性能を向上した「STM32H7R7」「STM32H7S7」をラインアップする。
両製品を用いたアプリケーション開発向けに、開発評価用プラットフォーム「STM32H7S8-DK」や、拡張性に優れた低コストの開発ボード「NUCLEO-H7S3L8」を提供する。
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