マイクロプロセッサを使用したシステム、回路設計時に重要なポイントは:マイクロプロセッサQ&Aハンドブック(3)(4/7 ページ)
マイクロプロセッサ(MPU)を使用したボードを開発するユーザーが抱えるさまざまな悩みに対し、マイクロプロセッサメーカーのエンジニアが回答していく連載「マイクロプロセッサQ&Aハンドブック」。今回は、「回路設計時の重要ポイント」について紹介します。
2.電源回路構成の検討(メーカー推奨のパワーマネジメントICもしくはディスクリート構成)
電源回路の設計にあたっては、電源立ち上げ順序を守るため、半導体メーカー推奨の電源管理ICを使用するか、イネーブル端子付きのDC-DCコンバーターICやレギュレーターICを使用してディスクリートでの電源回路を構成します。
図4、図5に、それぞれ半導体メーカー推奨の電源管理ICを使用した電源回路の例およびディスクリートでの電源回路の例を示します。
3.電源供給能力の確認
電源回路構成を検討した後は、動作条件を仮に決め、特に消費電流の大きいVDD_CPU、VDD_COREについて、電源の供給能力が十分であることを確認します。VDD_CPU、VDD_CORE、VDDの消費電流であるIDDCPU、IDDCORE、IDDはデータシートから確認できます。STM32MP135Fシリーズの場合、データシート「DS13483」※3)の6.3.6章 “Supply current characteristics”内、”Table 20. Current consumption(IDDCORE)in Run mode”および“Table 21. Current consumption(IDDCPU)in Run mode”に記載されています。
電源の供給能力が十分なことを確認するための消費電流の条件は、使用環境を考慮し、消費電流が最大となるケースを選定します。例として、下記の動作条件で検討してみます(表2)
No | 項目 | 値 |
---|---|---|
1 | ジャンクション温度 | 105℃ |
2 | CPU周波数 | 1000MHz |
3 | AXIバス周波数 | 266MHz |
4 | VDD_CPU電圧 | 1.37V |
5 | VDD_CORE電圧 | 1.29V |
表2:電源回路供給能力検討時の動作条件例 |
データシートから、表2の条件の場合、表3の最大電流を供給可能な電源回路が必要なことが分かります。
No | 項目 | 値 |
---|---|---|
1 | IDDCPU最大電流 | 188mA |
2 | IDDCORE最大電流 | 267mA |
表2:.電源回路に必要な供給能力の例 |
DDRメモリもマイクロプロセッサと同様に消費電力が大きいため、DDRメモリの消費電力はDDRメモリメーカーが提供するデータシート、アプリケーションノート、消費電力カリキュレーターなどによる確認が重要です。
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