連載
ステップアップ形DC/DCコンバーターの設計(5)チョークの電流連続性が途切れた場合のコンバーターの振る舞い:たった2つの式で始めるDC/DCコンバーターの設計(12)(2/3 ページ)
今回はいままで計算の前提にしてきたチョークの電流連続性が途切れた場合のコンバーターの振る舞いについて図を表す1次式を基に検討します。
不連続モード時の出力特性
不連続モードにおける出力電圧を次のように計算します。
toff'期間中にチョークLから負荷に供給される電流の1周期平均値が出力電流Ioです。このIoにVoを掛けたものが出力電力Poに等しいので8式が成立します。
となり両辺を整理します。
8式にLの基本式とtoff’を求める2式を代入すると9式になります。
9式において
とまとめてVoについて整理すると10式が得られます。
10式からton’を一定にした条件下では軽負荷(β→∞)時にVoが限りなく上昇していくことが確認できます。
注)10式の解として(1−√…)もありますが負電圧は物理現象として意味を成さないので棄却します。
過電圧保護回路
既に説明したステップダウン型DC/DCコンバーターでは軽負荷時の電圧上昇は電源電圧で止まりましたがステップアップ型DC/DCコンバーターでは昇圧比50倍以上に上昇することがあります。条件によっては人体にショックを与える電圧に達することもあり得ますので過電圧保護回路は必須です。
ただし「いざ!」という時に過電圧保護回路が故障していては役目を果たせないので保護回路を確実に動作させるためには信頼性の高い部品を使用して、できる限り簡単な原理の回路を最小点数で構成することが望ましいといえます。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.