マイコンに搭載されている「低電圧検出器(LVD)」って何?:Q&Aで学ぶマイコン講座(97)(1/4 ページ)
マイコンユーザーのさまざまな疑問に対し、マイコンメーカーのエンジニアがお答えしていく本連載。今回は、初心者の方からよく質問される「低電圧検出器って何?」についてです。
素朴な疑問から技術トラブルなどマイコンユーザーのあらゆる悩みに対し、マイコンメーカーのエンジニアが回答していく連載「Q&Aで学ぶマイコン講座」。
今回は、初心者から多く寄せられる質問です。
マイコンのマニュアルの中の電源ブロック図に「低電圧検出器」と記載されています。これは電源電圧を監視する機能のようですが、仕組みと使い方を教えてください。また、パワーオンリセット(POR)、パワーダウンリセット(PDR)、ブラウンアウトリセット(BOR)、プログラム可能な電圧検出器(PVD)などの機能も、この「低電圧検出器」の原理を利用しているのでしょうか?
例えば、STマイクロエレクトロニクス(以下、ST)製の汎用32ビットマイコン「STM32L4シリーズ」*1)の電源の概要図(図1)には、低電圧検出器(Low Voltage Detector)が記載されています。これは、電源VDDの電圧が基準値以下になった時にバックアップドメイン*2)の電源を切り替えるために使われます。
低電圧検出器は、常時電源電圧を定電圧源と比較し、電源電圧の低下を監視する機能です。この時、定電圧源としては、バンドギャップリファレンス(以降、BGR:Band Gap reference)がよく使われます。BGRは比較的簡単にマイコン内に形成できて、電圧も安定しているからです。
BGRは、マイコンの電源電圧に依存しない一定電圧を得ることができます。
そのため、基準電圧に達したらリセットをかけるパワーオンリセット(POR)、パワーダウンリセット(PDR)、ブラウンアウトリセット(BOR)などでも利用されます。これらのリセット機能は、ユーザーが基準電圧をレジスタで設定可能です。
リセットをかけなくても、電源電圧が一定値まで低下したら、割り込みなどのイベント発生させるプログラム可能な電圧検出器(PVD)でも利用されています。
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