連載
ステップアップ形DC/DCコンバーターの設計(6)チョーク電流連続時の充電モード:たった2つの式で始めるDC/DCコンバーターの設計(13)(1/4 ページ)
今回は不連続モード時のリップル電圧について説明する前段階として、チョーク電流が連続でも平滑キャパシターへの充電がtoff期間より短くなるモードについて説明します。
前回は負荷の故障や負荷が切り離された時などの軽負荷モードでチョーク電流が不連続になった場合に、入出力の条件によっては出力電圧が感電などの危険電圧域に達すること、その危険防止のためには異常電圧を確実に抑制できる保護回路が必要であることを説明しました。
今回はこの不連続モード時のリップル電圧について説明する前段階としてチョーク電流が連続でも平滑キャパシターへの充電がtoff期間より短くなるモードについて説明します。式が多くなりますが波形を説明するための1次式ですから図を参照すれば理解は容易です。
モードIとモードII
昇圧コンバーターの電流連続モード時の動作には全toff期間が平滑キャパシターC1の充電に使われる図1(a)のモードIとtoff期間の一部(tc)区間しか充電に使用されない図1(b)のモードIIが存在します。モードIIではチョーク電流は連続なのですがチョーク電流ILの瞬時値が負荷電流Ioを下回っていて充電に使用できない区間が存在することが確認できます。
モードIの電流波形
チョーク電流連続、かつtoff期間充電のモードです。
モードIのリップル電圧ΔVrについては既に本連載第11回(ステップアップー4)で説明したので計算結果とシミュレーションの値のみを表1に示します。このリップル電圧は次の1式で計算します。
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