半導体用温調器修理の経験が生きる! アナログ回路のノイズ対策:Wired, Weird(2/2 ページ)
半導体製造関連の温調器を13年ほど修理してきた筆者は、このアナログ機器の温調器修理経験を買われて知人から依頼された農業関連の技術支援も始めた。今回は、高精度な農作物の自動計量器の精度を維持するために重要なノイズ対策について解説する。
出荷後数年後に出てきた顧客からのクレーム
話は組み合わせはかりに戻るが、製品を出荷してから数年後に顧客から重量の精度についていろいろクレームが出てきた。この機器は世の中になかった製品なので当初は顧客が使い方を調整しながら機器を使ってきたと思われるが、顧客の努力だけでは機器の維持が難しくなったようだ。新製品は必ずいろいろな壁にぶつかる。顧客からのクレームの原因を調べきちんと対応すれば、その壁を乗り越えて、より良い製品を顧客へ提供することができる。
ある顧客からは、初回の訪問から3年後に相談があった。『電源を取る場所によって0点が狂う』ということだったので、当初懸念していたノイズによる問題が出始めたと思い、対策部品を準備して訪問した。組み合わせはかりを開けてもらい内部の回路を詳細に確認すると、センサー回路のノイズ対策と配線から入る電源ノイズの対策が不十分であることが確認できた。
この機器では4桁保証では6mVの電圧レベルだ。ハム(電波)が飛んでいる環境ではより大きなノイズが飛び込むし、電源ラインからもかなり大きなノイズが入り込む。センサー部には大きめのセラミックコンデンサーを追加し、電源入力部にはしっかりしたノイズフィルターを追加して問題は解決した。ノイズ対策がうまくいったあとで送られてきた機器の写真を図3に示す。
図3の機器ではコンベヤーと組み合わせることで、計量にマッチした農作物を自動的に選択して、コンベヤーで運ぶので、作業者がより楽に農作物を梱包できるようになっていた。これを見てノイズで引き起こされたハードウェアの問題が解決されていることが確認できた。
OKプランニングは優れた企画力とソフトウェアの開発能力を持った会社だ。顧客のニーズをしっかり受け止めて、より良い、より使いやすい製品を作り出せるだろう。またいろいろな用途の計量器を開発し、今後もますます農業や関連産業の発展を支える会社になると思われた。筆者もこの会社のハードウェア部分を支援していくつもりだ。
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