1ドルの小型MCUでもエッジAIが可能に TIの新Armマイコン:独自アクセラレーターを搭載(1/2 ページ)
Texas Instruments(TI)は、独自のAIアクセラレーター「TinyEngine」を搭載したArmマイコンを2品種、発表した。安価な小型マイコンでも、エッジAIを実現できるようになる。
Texas Instruments(TI)は2026年3月、エッジAI向けのマイコンを2種、発表した。独自のハードウェアアクセラレーター(NPU:Neural Processing Unit)である「TinyEngine」を搭載したもので、限られたメモリ容量でもエッジ機器でのAI演算が可能になる点を特徴とする。
TinyEngineは、さまざまなニューラルネットワークの演算に対応し、2.56GOPSの演算性能を実現する。アクセラレーターを搭載していない同等クラスのマイコンに比べ、AI推論当たりのレイテンシを最小で90分の1に、エネルギー消費を同120分の1に低減できるという。
安価な小型マイコンでも推論を実行可能に
TIが今回発表したのは、Arm Cortex-M0ベースの「MSPM0G5187」と、Arm Cortex-M33を搭載した「AM13E23019」の2品種となる。
欧州最大規模の組み込み技術展示会「embedded world 2026」(ドイツ・ニュルンベルク/2026年3月10〜12日)では、これらのマイコンを使ったデモを披露した。
MSPM0G5187はコストを重視した小型マイコンだ。消費電流が2μA以下と非常に低いので、ウェアラブル機器やスマートスピーカーなどをターゲットにしている。USBやI2Sをはじめ、アナログ/デジタルの周辺機能を一通り備えるので、幅広いセンサーからデータを取得できる。ポスト量子暗号に対応したサイバーセキュリティ機能をサポートしていることも特徴だ。既に量産を開始していて、価格は1000個の単価で1米ドル未満と低く抑えている。
日本テキサス・インスツルメンツ(日本TI)は「MSPM0G5187によって、これまでは、AIの搭載が難しかったエッジの機器にもAIを搭載できるようになる。電力制約が厳しいアプリケーションにもインテリジェンスをもたらすことになるだろう」と語る。「エッジAIの普及によって、日常的に使われる電子機器が大きく変わるだろう。設計者はマイコンに新たな(エッジAIの)機能をどんどん追加できるようになる」
日本TIはユースケースの一例としてスマートスピーカーを挙げた。音声(ユーザーの呼びかけ)をA-D変換した後、TinyEngine上で1次元CNN(畳み込みニューラルネットワーク)を実行して、起動ワードを検出する。音声認識モデルをTinyEngine上で動作させることで、標準的なCPUの処理に比べ、レイテンシを90%以上削減したという。
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![TI独自のAIアクセラレーター「TinyEngine」[クリックで拡大] 出所:日本TI](https://image.itmedia.co.jp/edn/articles/2603/19/mm260319_ti01.jpg)


