1ドルの小型MCUでもエッジAIが可能に TIの新Armマイコン:独自アクセラレーターを搭載(2/2 ページ)
Texas Instruments(TI)は、独自のAIアクセラレーター「TinyEngine」を搭載したArmマイコンを2品種、発表した。安価な小型マイコンでも、エッジAIを実現できるようになる。
4台のモーターを同時に制御、Cortex-M33ベースの「AM13E23019」
AM13E23019は、Arm Cortex-M33コア、TinyEngineおよび、高度なリアルタイム制御アーキテクチャを1チップに統合したマイコンである。モーター制御に強みを持ち、最大4台のモーターを同時に制御できる。ターゲット用途は白物家電やヒューマノイドロボット、HVAC(暖房・換気・空調)などを想定する。
演算スコアは、CPUの動作周波数200M〜250MHzにおいて4.35/MHzを実現。三角関数演算アクセラレーターも搭載しているので、従来のCORDIC(Coordinate Rotation Digital. Computer)アルゴリズムに比べ、10倍高速に演算を実行できるという。サンプリングレートが6.67MSPS(メガサンプル/秒)と高速な12ビットA-Dコンバーターを3ユニット、高速コンパ―レーターを4ユニット、プログラマブルゲインアンプ(PGA)を3ユニットなど、アナログの周辺部品も統合している。これにより、部品表(BOM)コストを最大30%削減できることも特徴だ。
TIは2024年11月、同社のリアルタイムマイコン「C2000」の新シリーズとして、NPUを搭載した「TMS320F28P55x」を発表している(TMS320F28P55xに搭載しているNPUは、TinyEngineとは異なる)。「今回発表したAM13E23019は、C2000シリーズで用いた技術をArmの広いエコシステムに拡充することを狙った製品。より多くの設計者に、TIのモーター制御技術を提供できるようになる」
AM13E23019は最小で7×7mmの48ピンQFNなど、複数を用意している。現在は量産開始前の数量を提供している。
エッジAI実装を容易にする開発環境
TIは、エッジAIの機能をマイコンに容易に実装するための開発環境もそろえている。統合開発環境(IDE)としては「CCStudio IDE」を用意。CCStudio IDEに統合された生成AIによって、自然言語を用いてコード開発やデバッグを高速化できる。「CCStudio Edge AI Studio」は、モデルの選定と学習、展開を簡素化する無償のツールだ。現在、60以上のモデルとアプリケーションの例が用意されている。MSPM0G5187とAM13E23019は両方とも、CCStudio Edge AI Studioに対応している。
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