検索
連載

SiCパワー半導体とは? 大電力製品の小型・軽量化にむけて知っておきたいSiCパワー半導体(1/3 ページ)

今回はSiCパワー半導体の基本特性やSiとの比較、活用例などについて説明します。

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena
株式会社リョーサン

本連載はリョーサンが運営するマガジンサイト「リョーサンテクラボ」に掲載された記事を転載しています。本記事は2024年3月15日に公開されたものです。

 パワー半導体(パワーデバイス)は、電気を動力源とする機器や発電インフラなどの大電力制御を行う回路で使用されます。脱炭素化に向けて省エネ性能や発電効率を高めるため、パワー半導体は"新素材の採用"という大きな転換期を迎えています。本記事では、新素材を代表する炭化ケイ素(SiC)を用いたパワー半導体の特長や活用例を紹介します。

1. 期待されるSiCパワー半導体

1-1. パワー半導体の性能向上

 さらなる大電力化への対応や省エネ性能の改善のためには、パワー半導体の性能向上が不可欠です。パワー半導体の主な性能指標は、高電圧での耐久性・動作速度・電力損失に大別されます。大電力を扱う回路では、下表のような効果を得るために重要な性能です。

パワー半導体の性能指標と回路設計における効果
パワー半導体の性能指標と回路設計における効果

 脱炭素への取り組みを加速するため、パワー半導体の各性能の向上が求められています。

1-2. SiCパワー半導体市場の動向

 従来、パワー半導体の材料にはシリコン(Si)が一般的に使用されています。Siが用いられたパワー半導体Si-MOSFETは、耐圧を高めるとオン抵抗(通電時の抵抗)が悪化する課題があります。MOSFETに対してIGBTは、高耐圧で大電流を流した際のオン抵抗が優れていますが、スイッチング特性が悪く30kHz程度の動作速度までしか対応できません。どちらのトランジスタも特性の改善が行われてきましたが、近年ではSiの物性的限界に近づいていると言われ、今後の大幅な改善は難しいとされています。

 そのようなSiの物性的限界を突破できる材料として注目されたのが、SiCです。SiCパワー半導体は、高耐圧で大電流を流した際のオン抵抗が優れ、同時にスイッチング特性も優れているため動作速度の向上も達成できます。SiCの優れた特性を生かして、SiCパワー半導体は各分野での採用拡大が見込まれています。

SiCパワー半導体市場の数量グラフ(データ出展:国立研究開発法人科学技術振興機構 低炭素社会戦略センター「次世代半導体デバイスの技術開発課題と展望」)
SiCパワー半導体市場の数量グラフ(データ出展:国立研究開発法人科学技術振興機構 低炭素社会戦略センター「次世代半導体デバイスの技術開発課題と展望」)

 情報通信分野では、使用電力が年々増大しているデータセンターのサーバや無停電電源装置(UPS)機器での採用が進んでいます。自動車分野では、電気自動車(EV)へのシフトに伴って走行用モーターの駆動回路やバッテリー充電での活用が広がっています。

Copyright © Ryosan Company, limited All rights reserved.

       | 次のページへ
ページトップに戻る