AI時代でもマイコンが必要とされる理由:Q&Aで学ぶマイコン講座(116)(2/4 ページ)
マイコンユーザーのさまざまな疑問に対し、マイコンメーカーのエンジニアがお答えしていく本連載。今回は、初級者の方からよく質問される「AI時代でもマイコンが必要とされる理由」についてです。
AI手法の経緯
もし、数学的、経験的に人間と同じ働きをする仕組みもAIと呼ぶなら、こうした仕組みが、AIの始まりだと言えます。
そして、AIは、大量データを機械学習して、人間の脳の神経を模した仕組みとして発展してきました。その場合は、クラウドを使用するため、インターネット環境が必要になります。しかし、それでは組み込みシステム用AI(以下、組み込みAI)として、コスト面とレスポンス面で対応できません。異常事態が発生した時に、いちいちクラウドまで行っていたら、緊急対応ができません。そこでクラウドを使わないエッジAIが考え出されました。当初のエッジAIのコアには演算能力の高いプロセッサが使われていましたが、プロセッサはマイコンに比べると高価なので、コスト面を改善するためにマイコンを使ったエッジAIが考えられるようになりました。
本記事では、STマイクロエレクトロニクス(以下、ST)のAIソリューションを題材にして、マイコンAIを解説します
マイコンAIの復習
マイコンを使ったAIの仕組みについては、「ハイレベルマイコン講座:【組み込みAI編】(1)マイコンで実現するAI ――「組み込みAI」とは」や、「ハイレベルマイコン講座 【組み込みAI編】(2)マイコンでAIを実現するための手順」を参考にしてもらえれば、理解し易いと思います。
まず、組み込みAIを簡単に復習します。実現ステップは以下のステップで構成されます。簡単に言うと、機械学習はクラウドかPC、推論実行はマイコン(STM32ファミリー)という役割分担になります。
- 学習用データ(教師データ)収集
- 学習用データのラベリング
- 人工ニューラルネットワークモデルの学習
- 学習済み人工ニューラルネットワークをマイコン用コードへ変換
- 学習済み人工ニューラルネットワークによるマイコンでの処理および分析
最新状況
上記の記事は2019年公開なので、現在(2026年)の状況は変わっています。全体の基本フローは変わりませんが、マイコンの機能/性能が大幅に上がっています。
例えば、STのSTM32N6シリーズ(外部リンク)は、Cortex-M55+専用ニューラルネットワーク処理ユニット(NPU)を搭載したAI処理をハードウェアで加速するマイコンです。STM32N6シリーズを使うと、画像認識や音声処理など、重めのニューラルネットを高速で処理できるようになります。
STM32N6シリーズのコアは、最大800MHzで動作するArm Cortex-M55です。Cortex-M55は、Arm Heliumベクトル処理テクノロジーを採用したCPUで、標準CPU機能に加えて高速DSP処理が可能です。
また、ST独自のNPUであるST Neural-ARTアクセラレーターを搭載していて、電力効率に優れた組み込みAIアプリケーションに最適です。
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