30年前に関わった半導体用温調器、調査で判明した設計の盲点:Wired, Weird(1/4 ページ)
修理を指導している友人から、技術支援の依頼があった。聞けば、筆者が30年ほど前、半導体製造装置の業務に従事していた時に関わった温調器に関する問題だったため、少し踏み込んで調べてみることにした。
友人から技術支援依頼、聞けばよく知る温調器
修理を指導している友人から、技術支援の依頼があった。『温調器で、E100エラーが出た機器を熊本工場で修理した。電解コンデンサーを全て交換して起動すると正常に起動した。しかし、東京の工場へ送って確認してもらったところ、E100エラーが再発生した』という内容だった。
この温調器は30年ほど前、筆者が半導体製造装置の業務に従事していた時に関わった機器だったため、少し踏み込んで調べてみることにした。なお、機器の名称やメーカー名が出ないように配慮している。
まず、E100エラーの意味を確認した。エラーメッセージの一部を図1に示す。
| E100 | サーモモジュール電源出力電圧低下アラーム 回路短絡などの過電流の場合発生。電源OFFでも発生 |
○ | TROUBLE | 装置停止 | 電源再投入 |
|---|---|---|---|---|---|
| 図1:E100エラーの意味 | |||||
エラー内容から『サーモモジュールの電源電圧が低下した』と読み取れた。依頼を受けた機器はペルチェ素子を使った高精度の温調器だった。この温調器の温度制御素子の駆動基板を図2に示す。なお部品面は左右反転して、パターンの接続を追いやすくしている。
図2左は基板のハンダ面で、右は部品面だ。右下の端子台からDC電源を入力し、4個のFETで電流の極性を制御してペルチェ素子を駆動していた。左図左の4個のパワー部品がFETだ。基板のパターンを追って回路構成を確認したところ、Hブリッジ構成となっていた。HブリッジはDCモーターの回転方向等の極性変更によく使用される回路だ。Hブリッジ回路の簡単な構成を図3に示す。
図3はHブリッジをDCモーターの極性(回転)方向の切り替えに応用した回路例だ。スイッチ4個と負荷がH字に接続されているので『Hブリッジ回路』と呼ばれている。ハイ側とロー側のスイッチを切り替えることで、モーターに流れる電流の極性が切り替わる。この温調器では図3の負荷にペルチェ素子、スイッチにFETを使っていた。ペルチェ素子は流す電流の向きを変えることで発熱と吸熱を切り替えられる。
この温調器のHブリッジはハイ側とロー側の2個のFETをオンさせ、ペルチェ素子に電流を流して電流の極性を切り替える回路だった。ペルチェ素子に流す電流の向きをFETのゲート電圧で切り替えることで加熱と冷却の動作が可能になり、温度制御を実現している。
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