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コイルの基本、選択のポイント抵抗/コンデンサ/コイルの基本を学ぶ(4)(3/4 ページ)

コイル(インダクタ)は、簡単に表現すれば線材が巻いてあるだけのものだとも言える。しかし、実際には巻き線の材質や、線径、巻き方、磁性材料、構造によって異なる特徴を持ち、用途に応じたさまざまな製品が用意されている。今回は、まずこのコイルの特性項目とコイルの種類について詳しく説明する。その上で、コイルの代表的な用途と、各用途においてどのようなものを選択すればよいのか、そのポイントを紹介する。

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コイルの利用例、選択のポイント

 上述したように、コイルの用途は信号系と電源系に大別することができる。コイル製品の主要なメーカーのウェブサイトには選択ガイドが掲載されているので、それを参照することによって素早く製品検索と選択が行える。ここでは、コイルの利用例をいくつか紹介する。

  • 信号系のノイズフィルタ
図15 ノイズフィルタでの利用例
図15 ノイズフィルタでの利用例

 図15にデジタルオーディオ信号インターフェースの応用例を示す。S/PDIF(Sony Philips Digital Interface)の受信回路部を例にとっており、図中のTORXは光受信モジュールを表している。S/PDIF信号はオーディオの基本サンプリング周波数fs(例えば、CD-DAではfs=44.1kHz)の64倍でバイフェーズ変調された信号である。その周波数はf=44.1kHz×64=2.8224MHzとなる。これがTORXモジュールの動作電源にスイッチングノイズとして現れる。このようなMHzオーダーのノイズの除去には、電源デカップリングコンデンサに加えて、ノイズフィルタを組み合わせることが効果的である。図では、チップ型のコイルと積層セラミックコンデンサによってノイズフィルタを構成している。コイルのインダクタンスとしては、1μH〜100μH程度が推奨される。

  • スイッチングレギュレータ回路
図16 スイッチングレギュレータでの利用例(提供:ナショナル セミコンダクター ジャパン)
図16 スイッチングレギュレータでの利用例(提供:ナショナル セミコンダクター ジャパン)

 図16にスイッチングレギュレータ回路におけるコイルの利用例を示す。この図は、米National Semiconductor社のレギュレータIC「LM22672」のデータシートに記載されているアプリケーション回路例である。スイッチングレギュレータに用いるコイルのインダクタンスは、レギュレータICのスイッチング周波数、リップル電流などの要素によって決定される。この例の場合、負荷電流は1Aであるため、コイルの定格電流は余裕を見て2倍の2A程度とすることが推奨される。従って、リード型のコイルを選択することとなる。

  • ACアダプタ回路

 ACアダプタは家庭用ゲーム機、コードレス電話機、ノート型パソコンなど多くの機器と家庭用の電源コンセントとの間で用いられる。従って、ACアダプタからのノイズ放射を防ぐためのノイズフィルタ機能は必須となる。

図17 ACアダプタでの利用例
図17 ACアダプタでの利用例

 図17にACアダプタ回路におけるコイルの利用例を示す。この図において、AC入力側のL1、L2はノイズフィルタ用のコイルであり、L3は平滑用のコイル(チョークコイル)である。L1、L2のインダクタンスは周波数1kHz以上でのフィルタ効果が得られるようにコンデンサCとの兼ね合いで決定する。許容電流はアプリケーションに依存するが、数百mAから2A程度のものが多い。L3は電源平滑用なので、インダクタンスとしてはmHオーダーのものが推奨される。

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