PCI Expressの概要と高速化を支える技術:高速シリアル・インターフェイス入門(4)(3/3 ページ)
第4回となる今回は、PCI Expressを取り上げます。PCI Expressは、コンピュータ・マザーボードの拡張バスであり、それ以前のパラレルバスであるPCI(Peripheral Component Interconnect)をシリアル化したものです。
テスト・フィクスチャ
PCI Expressでは、半導体の規格であるBase Specification、半導体をシステムとして組み込んだCEM(Card Electromechanical)specification があり、CEM Specificationに基づいて試験方法を記載したTest Specificationが制定されます。
PCI Express Work Shopというイベントが年4回(米国で2回、台湾で2回)行われ、Test Specificationに基づいた試験が行われます。この試験に合格した製品はIntegrator Listに登録されPCI-SIGのWeb-Siteに掲載されます。なお、アイパターンなどの信号評価にはPCI-SIGが作成するSIGTESTと呼ばれるプログラムを使うことが求められます。
図8にはレクロイ社のコンプライアンス自動試験パッケージQualiPHY-PCIeのメインメニューを示していますが、PCI-SIGから配布されたDLLバージョンのSIGTESTが組み込まれています。
コンプライアンス・パターン
上記のコンプライアンス試験で使うコンプライアンス・パターンが規定されていますが、PCI Expressでは試験の実施を簡便化するために、コンプライアンス・パターンの発生に特別の機器を必要としません。送信レーンが抵抗で終端されていれば自動的にチップがコンプライアンス・モードに入りコンプライアンス・パターンを発生するように規定されています。
従って前述のCBBに試験をするアドインカードを挿してオシロスコープを接続するとオシロスコープが終端の役目を果たし、電源を入れればコンプライアンス・パターンの観測ができるようになっています。
PCI Expressのコンプライアンス・パターンは8b/10bエンコードに従い、K28.5、D21.5、K28.5、D10.2の繰り返しであると規定されています。図9にコンプライアンス・パターンを示していますが、8b/10bデコード機能を用いると、正しいコードが送られているのが簡単に確認できます。Gen2に対応した機器の場合にはGen1にも対応しなければならないため、電源を入れるとGen1の2.5Gbpsで動作します。CBBのボタンを押すたびにGen2の5Gbpsでデエンファシスが3.5dB、5Gbpsでデエンファシスが6dBの3種類が( Gen1対応と合わせて3種類)切り替わるようになっています。
ここでは、PCI Expressの概要とその計測例をいくつか示しました。次回(最後回)はUSB 3.0を取り上げますが、PCI Express Gen2をベースにして作られた規格なので、ここで示した技術課題と同じものがありますが、USB 3.0特有の評価技術がありますので、今回の復習も加えながら紹介していきたいと思います。
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