2Uハーフラックで2チャネル搭載の微小電流測定器、バイアス用電圧源も内蔵:ケースレー 6482型
ケースレーインスツルメンツの「6482型」は、1fAと極めて高い分解能を備えた微小電流測定器(いわゆるピコアンメーター)の新機種である。さらに同社は、ソースメジャメントユニット(SMU)とデジタルマルチメータ、プログラマブルDC電源装置、大電力カーブトレーサーそれぞれの新製品も相次いで発表している。
Keithley Instruments(ケースレーインスツルメンツ)は2012年10月、分解能が1fA(フェムトアンペア)と極めて高い微小電流測定器(いわゆるピコアンメーター)の新機種「6482型」を発表した。筐体は2Uハーフラックサイズで、「チャネル密度は競合他社機の2倍だ」(同社のマーケティング担当ディレクターを務めるMark Cejer氏)と主張する。新機種にはさらに、被測定物のバイアス用に使える±30Vの非フローティング電圧源も2チャネル搭載した。電子材料や電子部品、半導体チップなどの研究開発や製造に使える。
電流測定の桁数は2チャネルともに6・1/2桁。測定レンジの設定範囲は最小2nA、最大20mAである。測定誤差は2nAレンジの時に±1%に抑えた。測定速度については、4・1/2桁時に各チャネル900回/秒の読み取りが可能である。
各種測定器の新型機を相次ぎ発表
この他にも同社は2012年9〜10月にかけて、直流電源/測定ユニット(いわゆるソースメジャメントユニット、SMU)とデジタルマルチメータ、プログラマブルDC(直流)電源装置、大電力カーブトレーサーそれぞれの新製品を相次いで発表している。
SMUの新製品「2600Bシリーズ」は、表示桁数を従来機「2600Aシリーズ」の5・1/2桁から6・1/2桁に増やして分解能を10倍に高めた他、外部PCとの接続用に新たにUSB 2.0インタフェースを搭載したことが特長である。これらにより、「研究開発から量産試験に至るまで、さまざまな工程でユーザーの生産性を高められる」(Cejer氏)と言う。
デジタルマルチメータの新製品「2110型」は、価格対性能比を高めた5・1/2桁表示機だ。「5・1/2桁の既存の有力機に比べて、測定の速度が10倍、精度が2倍といずれも高い」(同氏)と主張する。価格については、外部接続用にUSBインタフェースを搭載した機種を5万9500円、USBとGPIBの両方を備えた機種を7万2500円に設定した(いずれも税別)。2012年末までの期間限定で、USB/GPIB両対応機をUSB機の価格で販売するキャンペーンを実施するという。
プログラマブルDC電源装置の新製品は「2200シリーズ」。2チャネル機「220-30-1型」は各チャネルともに最大30V、1.5A出力に対応。3チャネル機「230-30-1型」は2チャネルが最大30V、1.5A対応で、もう1チャネルが最大6V、5A対応となる。電圧誤差は0.03%、電流誤差は0.1%と、いずれも高い確度を実現した。「競合他社が供給する有力機は、それぞれ0.05%、0.15%だ」(同社)としており、比較的確度が低いという。
大電力カーブトレーサーの新製品は、測定ハードウェアとテストフィクスチャ、ソフトウェアからなるシステムで、最大3000V、100Aまでのパワー半導体の特性評価に対応できるように、性能が異なる7つの構成を取りそろえた。「ユーザーは、このシステムをまず基本構成で導入し、その後、必要に応じて高電圧や大電流に対応できるように性能を拡張することが可能だ。しかも、拡張時にメーカーへの返送は不要であり、現場でハードウェアを追加すれば済む。ワンボックス型のカーブトレーサーでは、こうした拡張性は提供できない」(Cejer氏)。
なおKeithley Instrumentsは、大手コングロマリットのDanaherに2010年に買収されている。米国本社であるKeithley Instrumentsは法人としては既に消滅しているが、現在はDanaherが同じく買収したTektronixの1つの事業部門として運営されており、ブランドとしてのKeithley Instrumentsは継続している(関連記事)。
日本法人であるケースレーインスツルメンツについては、Tektronixの日本法人テクトロニクスとDanaherが別に買収していたFlukeの日本法人であるフルークが統合して誕生した新会社のTFFに2012年4月1日付で合併済みだ。
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