シンプルな構成で4×4 MIMO向けの疑似信号を発生:ローデ・シュワルツ R&S SMW200A
「R&S SMW200A」は、本体に最大2個のRFジェネレータと最大4個のベースバンドジェネレータ、およびフェージングシミュレータを内蔵することができるベクトルシグナルジェネレータである。外付けで小型RFジェネレータを追加すれば、4×4 MIMOモードやLTEキャリアアグリゲーションなどの複雑な信号発生も、シンプルなシステム構成で行うことができる。
ローデ・シュワルツ・ジャパンは2013年5月、ベクトルシグナルジェネレータ「R&S SMW200A」の販売を始めた。本体に最大2個のRFジェネレータと最大4個のベースバンドジェネレータ、およびフェージングシミュレータを内蔵することができる。さらに、外付けで小型RFジェネレータを追加すれば、4×4 MIMOモードやLTEキャリアアグリゲーションなどに対応する複雑な信号発生も、複数の機材を組み合わせることなく、シンプルなシステム構成で行うことができる。
R&S SMW200Aは、次世代無線通信の研究開発向けベクトルシグナルジェネレータである。オールインワンタイプで高い性能/機能と拡張性、そして使いやすさを追求した。本体には、100kHz〜3GHzまたは100kHz〜6GHzのRFジェネレータを最大2個、最大160MHz帯域幅のベースバンドジェネレータを最大4個、それぞれ内蔵することができる。内蔵したMIMOフェージングシミュレータでは、最大16チャネルを再現できる。
小型の同社製RFジェネレータ「R&S SGS100A」を外付けで追加すれば、最大で4本のRF信号を出力することが可能となる。例えば、4×4 MIMOフェージングの信号発生も、R&S SMW200Aと2台のR&S SGS100Aを組み合わせることで実現できるという。現行の主要な通信規格はもとより、今後登場するとみられる広帯域の無線システムなどについても、容易に機能を拡張して対応することが可能な構成となっている。
R&S SMW200Aは基本性能も高めている。その1つが変調信号のフラットネスである。160MHzの変調帯域幅全体で0.05dB(実測値)と、極めて優れたフラットネスを達成した。一般的に競合製品などでは、160MHzの変調帯域幅でフラットネスが0.6dBといわれている。このため、マルチキャリアや広帯域信号の場合には、周波数帯によってレベルの調整を必要としていた。R&S SMW200Aは、広帯域で高いレベル確度を実現したことにより、LTEやWLANなどの用途でもこれまでのようなレベル調整の必要がなくなった。これ以外にも、最大出力レベルは18dBm、SSB位相雑音特性(1GHz、20kHzオフセット、代表値)は−139dBc/Hzといった基本性能を実現している。
操作性の向上も図っている。ディスプレイのタッチパネル機能と、画面に表示されたブロック図を使って、発生させる信号の設定などをより簡便に行えるという。LTE基地局などの規格試験に必要な信号もウィザードで簡単に設定できるようにした。また、フェージングした波形など、実際の出力信号を画面上に表示させて確認することもできる。
R&S SMW200Aは、LTE-Advancedの基地局用装置、パワーアンプなどLTE関連部品、ワイヤレスLAN802.11ac受信機などの研究開発および生産テストの用途に向ける。価格は最小構成で271万3000円(税別)より。
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