「太陽光システムの発電効率を数%高める」分散型MPPTコントローラ:東京エレクトロンデバイス MPPTコントローラ
東京エレクトロンデバイスは、「太陽光システムの発電効率を数%高める」というMPPT(最大電力点追従)コントローラを発売した。従来、中央集中型の制御を行うことが多かったMPPT制御を分散型で制御し、発電効率を高めるという。
東京エレクトロンデバイス(以下、TED)は、太陽光発電パネルからの電力収集を最大化するMPPT(Maximum Power Point Tracking:最大電力点追従)コントローラとして、出力電圧60Vという比較的小規模なシステムに対応する小型製品を発売した。従来のMPPTコントローラは、出力電圧約500Vに対応する大型タイプが多く、新製品を使用することで細かなMPPT制御が行え、太陽光発電システムの発電効率を「数%程度高められる」という。
MPPTとは、太陽光パネルの出力を常に最大化するように最大電力点を自動で追従するもの。従来、MPPT制御機能は、ソーラーインバータの機能の1つとして搭載されることが多い。太陽光パネルから発電された直流電力を交流電力に変換するソーラーインバータは、効率面などから太陽光発電システムに対し、より少ないソーラーインバータでまとめて電力変換する「中央集中型」が多く用いられている。そのため、ソーラーインバータの一部機能であるMPPT制御機能も、より大きな規模の太陽光発電パネル単位での最大電力点を求め、追従していた。
今回、TEDが発売したMPPTコントローラは、MPPT制御機能に特化した製品である上、ソーラーインバータに内蔵されるMPPT制御機能よりも10分の1程度の小さな太陽光発電パネル単位でMPPT制御を行うような設計となっている。従来MPPT制御機能が中央集中型であるのに対し、新製品は「分散型」のMPPT制御と言える。TEDでは「MPPT機能に特化しているため追従速度は高速。それに加え、従来よりも細かな制御が行えるため、システム全体の発電効率は数%程度高められる」という。
新製品は、ソーラーインバータと離して設置することになるため、ソーラーインバータとの通信インタフェースを用意。RS-232とZigBeeの通信インタフェースを備え、遠隔のソーラーインバータに対し、発電量データや周囲温度情報などを送信できる。
サンプル価格は10万円(税別)で「中央集中型のものと比べても、トータルコストは同等以下に抑えられる」(同社)としている。
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