デジタル電源再入門:電源設計(4/4 ページ)
ユーザーにとって最良の電源とは一体、何なのだろうか――。新しい“スマートな電源”として広く知られるようになった「デジタル電源」。しかし、アナログ電源をしのぐまで普及していない。いま一度、デジタル電源の仕組み、利点を見直し、これからの電源を考えてほしい。
PMBusとは
PMBus
あらゆるタイプの電力コンバータに対し、コンフィギュレーション、制御、監視するためのオープンな通信規格。「ロイヤルティー・フリー」であり、無料で使用できる。
規格策定団体:System Management Interface
Forum(SMIF)
サポート団体:POLA、DOSA
電源管理バス「PMBus」(Power Management Bus)は、数社の電源装置メーカーが採用している既存のプロトコルだ。このプロトコルはSystem Management Interface Forum(SMIF)により制定された。
SMIFへの加盟資格はあらゆる関係団体にオープンであり、PMBus規格が無償で配布され、ロイヤルティー・フリーで利用できる。
PMBusは広範囲で包括的、かつフレキシブルなインタフェースであり、広範囲なデバイスに適用でき、また、あらゆる種類の電源上で正常に働く。
PMBusは前述の制御対象デバイスの通信アーキテクチャにホストを接続するためのもので、デバイス間の直接通信に対する備えは含まない。PMBusは、信頼性の高い、広く使用され、かつ認知されたデジタル電源制御・管理用のインタフェースであり、他の先進的な技術による革新を制限することもない。
PMBusの最も基本的な構成は、有名なI2Cバスの派生形であり、電源制御用として機能拡大されたシステム管理バス「システムBus」をベースとする2線式シリアルバスだ。
PMBusは物理的な構成を規定するものではない。そのため、電源装置メーカーや業界団体、例えば、Distributed-power Open Standard Alliance(DOSA)や Point of Load Alliance(POLA)は共同で、フォームファクタ、接続用やプログラム用の端子の出力や機械的インタフェースに関する標準構成を確立しようとしている。
まとめ
デジタル電源技術が提案されてから数年になるが、アナログ電源に十分に匹敵できるほどには至っていない。ICの高集積化、半導体メーカーの努力、成熟した高信頼のCMOS技術によって、現在では、電力変換用途におけるデジタル処理が非常に魅力的なものとなった。最も重要なことは、デジタル技術の利用によりアナログ技術では実現不可能であったレベルに、電源およびシステムレベルの両方の機能、性能が向上することだ。
現在、デジタル電源技術に関する宣伝や論争の大半は電源システム管理の問題に集中している。だが、最終的にデジタル電源が受け入れられるかどうかの最も重要な判断材料は、電源自体にどんな利点がもたらされるかだ。デジタル電源の利点は、今日の技術によれば実現可能で計測可能、そして利用可能なものだ。
- 効率の改善
- デジタル制御回路の高集積化による信頼性の向上
- 過渡的負荷変動に対する適応型デジタル制御の強力な応答によるデカップリング・コンデンサの数の削減、それに伴うシステムコストの抑制
- デジタル制御回路の小型化による電源パワー密度の向上
- 初期調整条件の改善による出力電圧公差の縮小
- これらの利点による全体的な管理コストの低減
今日の技術を利用すればデジタル電源制御もアナログ電源制御も実現するためのコストは等価であるので、これらの利点は全てのエンドユーザーに開放されており、真の顧客価値となるものだ。
システムの設計、開発、評価の過程で電源にデジタル・インタフェースを利用するのが有効であると思われる。通信バスによりユーザ毎の完全なカスタマイズが可能となり、その結果として、設計時間の短縮や電源管理の簡易化、さらには、最終製品の市場投入までの時間の短縮が得られる。
ユーザーに合わせたカスタマイズにより、単一の電源部品がいくつもの目的に利用可能となり、在庫数や管理すべき部品数が削減され、電源出荷までの期間が短縮される。
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