1.5A対応で「世界最小クラス」のコイル一体型DC-DCコンバータ:トレックス XCL213/XCL214
トレックス・セミコンダクターは、コイル一体型DC-DCコンバータとして、最大出力電流1.5A対応品を開発した。「1.5A対応のコイル一体型DC-DCコンバータとして世界最小クラスのサイズ」(同社)を実現した。
トレックス・セミコンダクター(以下、トレックス)は、DC-DCコンバータICとコイルを1パッケージ化した「microDC-DCコンバータ」として、最大出力電流1.5A品として「世界最小クラスのサイズ」(同社)という「XCL213」「XCL214」を開発し、2013年8月から量産を開始する。スマートフォンなどモバイル機器やメモリモジュールなどの用途での採用を見込む。
新製品は、DC-DCコンバータICとともに必ず使用するインダクタをパッケージ内に集積することで、電源回路規模を縮小する。パッケージサイズは、2.5×3.2×2.5mmサイズ。「DC-DCコンバータとインダクタが別個の従来構成に比べ、電源回路サイズを約半分にできる」(同社)という。さらに、インダクタとDC-DCコンバータICとの配線距離が短くなることやICに最適なインダクタを適用していることで、放射ノイズを抑制できるという利点もある。
入力電圧範囲は2.7〜5.5V。出力電圧範囲は0.8〜3.6Vで出力精度は±2%。発信周波数は3.0MHz。
トレックスでは、これまでもDC-DCコンバータとコイルを一体化した製品を展開してきたがこれまでの製品は最大出力電流が600mAまでであり、新製品により、より大電流を必要とする用途にも対応できるようになった。
今回の新製品は、新たにDC-DCコンバータICとコイルを水平方向に並べる構造を採用。従来品は、DC-DCコンバータの上を覆う形でコイルを積んでいた。「従来品や他社が採用する縦方向にICとコイルを積層する場合には、ICとコイル間に絶縁層を挿入する工程が必要になる他、特殊なコイルが必要になりコスト高を招いた。水平方向に並べる構造であれば、汎用的なコイルを使用でき、追加的な製造工程もなくコストを抑えられる利点がある」という。
5V入力、1A/1.8V出力時の効率は86%であり、「競合の1.5A対応コイル一体型DC-DCコンバータと比べ、パッケージサイズが小さい上に、効率も3%程度高い」という。XCL214は、PWM制御とともに、軽負荷時でも高効率を維持できるPFM制御の両制御方式を自動切り替えできる機能を持ち、1mAを下回るような軽負荷時でも80%を超える効率を実現する。独自の高速負荷応答技術「HiSAT-COT」も採用し、「先端のDDRメモリやCPUなどにも対応できる」(同社)としている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- コイル一体型の降圧型DC-DCコン、400mA出力で2.5×2.15×1.05mmと小型
コイルを内蔵しているため、外付けセラミックコンデンサ2個と組み合わせると出力400mAの電源としてLDOの代わりに利用できる。 - コイルの基本、選択のポイント
コイル(インダクタ)は、簡単に表現すれば線材が巻いてあるだけのものだとも言える。しかし、実際には巻き線の材質や、線径、巻き方、磁性材料、構造によって異なる特徴を持ち、用途に応じたさまざまな製品が用意されている。今回は、まずこのコイルの特性項目とコイルの種類について詳しく説明する。その上で、コイルの代表的な用途と、各用途においてどのようなものを選択すればよいのか、そのポイントを紹介する。 - DC-DCコンバータのノイズ対策[実践編]
本稿では、非絶縁型/スイッチング方式のDC-DCコンバータにおけるノイズ対策について、2回にわたって解説している。前回は『理論編』として、ノイズの種類やその発生メカニズムについて説明した。その内容を踏まえ、今回の『実践編』では、ノイズの発生を抑えるための基板レイアウト設計の基本、部品の選択方法、付加回路による対策手法について具体的に解説する。