プリント基板のインピーダンスを高精度に測定、アジレントのPCBアナライザ:アジレント Agilent E5063A PCBアナライザ
アジレント・テクノロジーは、プリント基板(PCB)のインピーダンス測定に向けた「Agilent E5063A PCBアナライザ」を発表した。新製品はフル校正(ECal)の誤差補正を行うことで、従来製品に比べて測定確度と測定再現性を高めた。静電気保護回路も内蔵しており、高い静電気耐性を実現している。5%以下の高い確度が要求される携帯端末向けプリント基板などのインピーダンス測定に向ける。
アジレント・テクノロジーは2014年2月10日、プリント基板のインピーダンス測定に向けた「Agilent E5063A PCBアナライザ」を発表した。新製品はフル校正(ECal)の誤差補正を行うことで、測定確度と測定再現性を高めた。静電気保護回路も内蔵しており、高い静電気耐性を実現している。5%以下の高い確度が要求される携帯端末向けプリント基板などのインピーダンス測定に向ける。
E5063A PCBアナライザは、比較的安価なネットワークアナライザ「Agilent E5063A ENAシリーズ」に、タイムドメイン解析用テストウィザード「オプション011」を追加した製品である。ENAシリーズは、2つのテストポートを備えており、測定対象に応じて周波数範囲が100k〜4.5GHzの「E5063A-245」、100k〜8.5GHzの「E5063A-285」および100k〜18GHzの「E5063A-2H5」と、3つの周波数オプションを用意している。また、それぞれのテストポートに外付けのUSB同軸スイッチを接続すると、ENAシリーズのポート数を最大4ポートまで拡張することが可能だ。
E5063A PCBアナライザには、3つの大きな特長がある。1つは「測定確度および測定再現性の向上」である。これまで、プリント基板のインピーダンス測定にはTDRオシロスコープが一般的に用いられてきた。しかし、携帯端末などに用いられるプリント基板は、内部バスのデータ伝送速度が高速化し、より高精度なインピーダンス測定が不可欠となっている。このため、測定環境の違いなどによって生じるさまざまな誤差を補正しなければならない。
E5063A PCBアナライザは、ネットワークアナライザで一般的に用いられる「フル校正(ECal)」という補正法を使っている。このため、「遅延」、「損失」、「ミスマッチ」と全ての誤差を測定系から取り除くことができる。従来のTDRオシロスコープでは、「遅延」のみを補正する「デスキュー法」を用いるため、他の要因で誤差を生じることがある。NIST(National Institute of Standards and Technology:国立標準技術研究所)が提唱するDUT「25Ωエアライン」を使った測定誤差でも、E5063A PCBアナライザは0.1Ω以内(1%以下)となるなど、高い測定確度と再現性を実現した。
2つ目は、主に東アジア地域をターゲットに「より多くの言語をサポートしている」ことだ。他社製品では一般的に英語のみ対応していることが多いが、同社のタイムドメイン解析用テストウィザードは英語に加えて、日本語、中国語(簡体字、繁体字)、韓国語にも対応しており、各国の製造現場で使いやすくした。
3つ目は、静電気に対する信頼性を高めたことだ。独自の静電気保護回路を各ポートに標準で内蔵することにより、3000Vの静電気耐性を実現した。その上、18GHzでライズタイム24.8psを実現するなど、高周波帯域の特性を犠牲にすることもない。
TDRオシロスコープに近い操作性を実現
この他、ユーザーインタフェースなどの工夫により、TDRオシロスコープに近い操作性を実現している。測定器の設定は、テスト編集モードの画面上で、ガイドに従って測定パラメータや補正項目などを設定して保存しておく。検査工程のオペレータは、保存されたテストプログラムを呼び出し、実行するだけでインピーダンスを測定することができる。
参考価格(税別)は、タイムドメイン解析用テストウィザード「オプション011」が102万4590円、組み合わせて使うAgilent E5063A ENAシリーズは、周波数オプションによって異なり、E5063A-245が195万6349円、E5063A-285が277万4453円、E5063A-2H5が359万2557円である。
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