「高信頼 高機能 操作性」を実現したミドル級オシロスコープ:ローデ・シュワルツ R&S RTE
ローデ・シュワルツ・ジャパンは、ミドルレンジのデジタルオシロスコープ「R&S RTE」を発売した。波形更新レートが100万波形/秒と高速なため、高い確率で突発的に発生する不具合信号を捕捉することができる。ノイズ解析に有効なトリガ機能なども備えている。組み込みシステムのデバッグや電源解析などの用途に向ける。
ローデ・シュワルツ・ジャパンは、ミドルレンジのデジタルオシロスコープ「R&S RTE」を2014年3月13日から発売した。波形更新レートが100万波形/秒と高速なため、高い確率で突発的に発生する不具合信号を捕捉することができる。ノイズ解析に有効なトリガ機能なども備えている。組み込みシステムのデバッグや電源解析などの用途に向ける。
波形更新レート 100万波形/秒
R&S RTEは、周波数帯域を200MHzから350MHz、500MHz、1GHzまでアップグレードが可能なデジタルオシロスコープである。入力チャネルはそれぞれ2チャネルと4チャネルのモデルを用意している。サンプリングレートは各チャネルとも最大5Gサンプル/秒で、メモリ長はチャネルあたり10Mサンプルを標準で搭載した。オプションで最大50Mサンプルまで拡張することが可能であり、I2CやCAN、FlexRayなどのシリアルプロトコルの解析において、長い信号シーケンスの解析に有用である。
同社は、R&S RTEをミドルレンジオシロスコープと位置付けているが、100万波形/秒の波形更新レートや、トリガのヒステリシスを変更することで誤差の発生を防ぐ独自のデジタルトリガシステム機能などは、同社の上位モデルである「R&S RTO」が備える特長を継承している。一般的にミドルレンジのオシロスコープだと波形更新レートは1万波形/秒程度だという。これを100万波形/秒とすることで、不具合信号を検出できる確率を格段に高めた。しかも、有効ビット数(ENOB)が7以上のA-Dコンバータを搭載することで、信号のひずみも最小限に抑えた。
ノイズ解析/評価のための機能が充実しているのも大きな特長である。
スペクトラムアナライザに代わる機能として、R&S RTEでは、スペクトラムハンティング機能や高速FFT機能をサポートしている。スペクトラムハンティング機能は、周波数マスクを作成して周波数軸に設定しておくことで、突発的に発生したノイズを確実に捕捉し、波形を止めて解析することができる機能だ。また、FFTゲート機能は、捕捉した信号の一部分を選択してFFT解析を行うことが可能となる。この機能を使うことで、例えばスイッチング電源の設計/評価において、発生したノイズがスイッチング時に生じたものか、そうでないかを切り分けて周波数解析を行うことができることから、原因追求とその対策がやりやすくなるという。
この他、測定作業の効率を高めるさまざまな機能も備えている。例えば、「QuickMeas」機能は、ボタン1つで8つまでの測定項目を一度に表示させることができる。「SmartGrid」機能は、測定した波形をチャネルごとに4分割したり、サイズを変えたりして表示することができる。「Fingertip zoom」機能を使えば、確認したい信号を拡大表示することが可能である。さらに、表示画面は10.4型XGA(1024×768画素)タッチスクリーンであり、画面上のアイコンを指でタッチするだけで操作できる。画面上に波形を配置する場合も波形を「ドラッグ&ドロップ」することで対応が可能だ。
本体価格は68万2000円(税別)より。同社では販売初年度に約150台の販売を見込んでいる。なお、新製品は3年間のフリーメンテナンスサービスの対象製品となっている。
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