進化した「4万円台オシロ」、価格そのままで性能と機能は2倍に:テクトロニクス TBS1000Bシリーズ(2/2 ページ)
テクトロニクスは、エントリークラスのオシロスコープの新製品「TBS1000Bシリーズ」を発表した。最安製品の「TBS1052B」は1GS/秒のサンプルレートに対応する50MHz機ながら4万9500円(税別)という低価格設定となっている。
「世界初」の機能も搭載
機能面も「従来比2倍がコンセプト。従来機の自動測定機能は16種だったが、新製品は34種に倍増させた」とし、エントリークラスオシロとして、初の機能を数多く搭載する。発生頻度が少ない異常検知に便利な長時間にわたって測定値をプロットする「トレンド・プロット機能」をはじめ、2つの異なる評価用波形に基づきテンプレートを作成し信号の合否判定などのリミットテストが行える「拡張リミットテスト機能」を搭載した。データロギング機能としても、最大64Gバイト容量のUSBメモリを接続しデータ保存することができるなど強化した。さらに、「オシロスコープとして世界初」という「デュアル周波数カウンタ」を実現した他、これまで演算機能の一部として提供したFFT表示機能を、フロントパネルに専用ボタンを配置し、より簡単に利用できるようにした。
インタフェースも一新。ディスプレイは、従来のアスペクト比4:3の5.7型液晶から、7型WVGA液晶に大型、高精細化。フロントパネルデザイン、ボタン配置も、現行のメインストリーム製品と同じデザイン、配置を採用し、「エントリークラスからメインストリームへの移行をより容易にしてほしいというニーズに応えた」という。
さらに、標準プローブにもユーザーのニーズを取り入れ、改良を図った。従来シリーズでは、25MHz機、50MHz機に対しても、メインストリーム機でも使用される100MHz対応プローブを標準プローブとして付属していたが、「消耗品であるプローブを買い替える際、4万円台のプローブに7800円(税別)の100MHz対応標準プローブはオーバースペック過ぎる」との声があったという。そこで、TBS1000Bシリーズの製品化に合わせ、新たに50MHz対応の標準プローブを製品化。2800円(税別)の価格設定で、ランニングコスト抑制ニーズにも対応できる体制を整えた。「50MHz対応標準プローブは、周波数対応を最適化させただけで、プローブの先端加工などはメインストリーム向けと同様の品質レベルを維持している」と付け加える。
TBS1000シリーズは、これまで汎用試験用途の他、手ごろな価格設定から教育機関や企業の研修用途などでも多く活用されてきた。「汎用試験用途と教育現場でオシロに対する要求は異なる」とし、そこでテクトロニクスでは、TBS1000Bシリーズとともに、教育用途専用機の「TBS1000B-EDUシリーズ」を製品化した。
TBS1000B-EDUシリーズでは、トレンド・プロット機能や拡張リミットテスト機能といった教育現場では不要な機能を省略する一方で、教育現場向けの「コースウェア・システム」を搭載する。
コースウェアとは、オシロスコープの実験手順書やオシロスコープを通じて学ぶ各種理論などのテキストといった教育コンテンツのことで、オシロスコープのディスプレイに表示できる。そのため、ヘルプ画面を見るような感覚で、テキスト/手順書をオシロで確認しながら、実習を進めることが可能であり、紙のテキストや別途PCを用意することなく、オシロ1台で実習を進めることが可能。コースウェアは、専用のエディタツール(無償)で自作できるだけでなく、「コースウェアWebページ」にある標準的なコースウェアが70種以上(提供当初は英語版のみ、順次日本語化予定)を無償ダウンロードでき、それらのコースウェアをエディタツールでカスタマイズしながら使用できる。なお、コースウェアWebページは、ユーザーからの投稿機能もあり、教育現場で使用されるさまざまなコースウェアが公開されていく見込みだ。
なお、TBS1000B-EDUシリーズの最安機(1GS/秒対応50MHz機)の価格は、4万8700円(税別)で、TBS1000Bシリーズよりもさらに価格を抑えている。
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