mSATA対応SSD、バックアップ回路内蔵でMLC NAND搭載品も:TDK SMG4Aシリーズ
mSATA SSD「SMG4Aシリーズ」は、SLC NAND型フラッシュメモリだけでなく、MLCにも対応していることが特長だ。信頼性の面でSLCよりも劣るMLCだが、TDKは、独自に開発した内部電源バックアップ回路を搭載することで、電源遮断時のデータ書き込み信頼性を向上した。
TDKは2014年11月18日、mSATAに対応した産業用SSD「SMG4Aシリーズ」を発表した。2015年1月から発売を開始する。サンプル出荷はなく、価格は個別の問い合わせ。組み込みCPUボード、工作機械などのFA機器全般の他、ベッドサイドモニターなどの医療機器、スマートメーター、セキュリティ端末といった用途に向ける。
メモリ容量とコストのバランスが取りやすく
新シリーズの最大の特長は、内部電源バックアップ回路を搭載したことにより、SLC NAND型フラッシュメモリだけでなく、MLC NAND型フラッシュメモリにも対応できるようになったことだ。
SLC NANDフラッシュに比べて安価なMLC NANDフラッシュはニーズが高いが、電源遮断時の対策が取られていない場合、書き込み対象以外のデータを破壊してしまうという問題がある。これは、産業機器向けのSSDでは大きな障害になる。そこでSMG4Aシリーズは、バックアップ回路を追加することでMLC NANDフラッシュ搭載時の信頼性を上げた。MLC NANDフラッシュにも対応したことで、メモリ容量とコストのバランスを取りやすくなった。
同シリーズは約30mm×50mmと小型だが、メモリ容量はSLCで最大64Gバイト、MLCで最大128Gまでをそろえている。
TDKは、「大容量のメモリが欲しいというニーズはあるが、SLC NANDフラッシュは容量が上がるとコスト面が厳しくなってくる。コストを抑えるにはMLC NANDフラッシュをどれだけ使いこなせるかにある」と説明する。
さらに、コントローラICも一新した。新たに設計した「GBDriver RS4」を搭載したSMG4Aシリーズは、215Mバイト/秒の読み込み速度、95Mバイト/秒の書き込み速度を実現。書き込み速度は従来品に比べて約2倍となっている。ECC(エラー検出訂正)は、従来は44ビット/Kバイトだったが、今回は標準で71ビット/Kバイトに向上している。オプションの「Enhance ECC機能」を使えばそれが71ビット/512バイトと、さらに2倍になる。
SMG4Aシリーズは台湾で製造し、月産1万個を目指す。
なお、TDKは2014年11月19〜21日に横浜市で開催される「組込み総合技術展 Embedded Technology 2014(ET2014)」に、SMG4Aシリーズを出展する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- フローティングゲートをアナログ領域で生かす
フローティングゲートを利用してデジタル値を保持する技術は、各種メモリーデバイスにおいて極めて広範に活用されている。では、フローティングゲートを利用してアナログ電圧を高い精度で保持し、さらにそれを自由に活用できるようにしたならば、エレクトロニクス業界には、どのような可能性が見えてくるのだろうか。 - 組み込み不揮発性メモリーの正しい選択
SoCに組み込み可能な不揮発性メモリーにはいくつかの種類がある。それぞれの特徴をつかみ、用途ごとに求められる要件を吟味した上で最適なものを選択することが肝要である。本稿では、その選択のためのガイドを提供する。 - あらためて学ぶ、DDR2の高速化技術
今回取り上げる規格はDDR2です。パソコンのメインメモリとして広く利用されているDDR2はシリアル・インターフェイスではありませんが、信号の高速化のために共通した技術が用いられています。本稿ではこうした高速化技術を中心に解説をしたいと思います。