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高精度の不感帯回路Design Ideas アナログ機能回路

サーボ制御システムなどに使う高精度電流源と半波反転整流器で構成した不感帯回路を紹介する。

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 不感帯回路は、サーボ制御システムなどに使われる。ここでは、高精度電流源と半波反転整流器で構成した不感帯回路を示す(図1)。図1で、REF01(IC1)は高精度の10V基準電圧源である。IC1に単一利得バッファーIC2Aと抵抗器R1を付け加えることで、高精度電流源を構成する。IC2Aは、IC1の接地ピン(4番ピン)をIC2Aの非反転入力電位に一致させる。IC1は基準電圧(10V)をR1に印加する。従ってR1を流れる電流I1は10V/R1となる。

<strong>図1:高精度電流源と半波反転整流器で構成した不感帯回路</strong><br>抵抗R1で決まる任意の電圧よりも高い電圧信号に対して不感帯を示す。
図1:高精度電流源と半波反転整流器で構成した不感帯回路 (クリックで拡大)
抵抗R1で決まる任意の電圧よりも高い電圧信号に対して不感帯を示す。

 IC2Bの反転入力は電流源出力に接続されている。このため、フィードバック・ダイオードD1は電流I1によって順方向バイアスされる。順方向にバイアスしたダイオードD1は、IC2Bの出力を約−0.6Vに保持する。ダイオードD2の陰極側は抵抗器R3を通して仮想接地になっているので、ダイオードD2は逆方向バイアスされたままである。従って、出力VOUTは仮想接地(0V)にとどまる。入力VINにどのような正電圧を印加しても、D1をさらに順方向に、D2をさらに逆方向にバイアスすることになる。このため、出力VOUTはVIN>0Vに対して0V(不感帯領域)にとどまる。

<strong>図2:入力電圧と出力電圧の関係例</strong><br>抵抗R<sub>1</sub>を20k Ωとすると、図1の回路は入力電圧が−5Vよりも高いときに不感帯動作を示す。
図2:入力電圧と出力電圧の関係例
抵抗R1を20k Ωとすると、図1の回路は入力電圧が−5Vよりも高いときに不感帯動作を示す。

 一方、入力VINに負の電圧を入力することは、ダイオードD2を順方向に、D1を逆方向にバイアスする方向に働く。このバイアス状態は、負の電圧入力VINによって抵抗器R2を通過する電流が10V/R1と同等以上になったときに生じる。従ってVINが−10(R2/R1)Vに等しい値に達するまでは、出力は0V(不感帯)である。例えばR1を20kΩに選ぶと、VIN>−5VでVOUTは0Vにとどまる。VIN≦−5Vでは、VOUT=(−VIN−5V)になる。図2には、このシナリオの伝達関数を示した。図1でコンデンサーC1とC2、およびC3は、IC1およびIC2に対するデカップリング・コンデンサーである。抵抗器R4は、非不感帯領域におけるIC2Bのオフセット電圧を低減する。

 なお、単一利得バッファーIC2Aを使わずに、基準電圧源に接続した高精度抵抗器を通して半波反転整流器をあらかじめバイアスすることでも、同様の回路を実現できるだろう。ただし、雑音利得が大きくなり、出力のオフセットと雑音を増大させることになってしまう。


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※本記事は、2008年7月29日にEDN Japan臨時増刊として発刊した「珠玉の電気回路200選」に掲載されたものです。著者の所属や社名、部品の品番などは掲載当時の情報ですので、あらかじめご了承ください。
「珠玉の電気回路200選」:EDN Japanの回路アイデア寄稿コラム「Design Ideas」を1冊にまとめたもの。2001〜2008年に掲載された記事の中から200本を厳選し、5つのカテゴリに分けて収録した。

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