パワーMOSFETを直流電子負荷に活用する:Design Ideas 信号源とパルス処理(2/2 ページ)
太陽電池アレイやバッテリーなどの電源の試験に、電子回路によって構成した直流負荷を用いるが、市販製品は高価なものが多い。パワーMOSFETをリニア領域で用いると、電子負荷を自作できる。
電圧動作モードの場合も同様であるが、検出される変数は出力電圧で、電圧分割回路RA/RBによって低くなっており、電子負荷はオペアンプの供給電圧よりも高い電圧で動作する。検出された電圧はIC1Bの正相入力にフィードバックされ、MOSFETはリニア領域で動作する。負荷電圧はVLOAD=VVREF×(RA+RB)/RBとなる。
デュアル・オペアンプ「CA3240」(IC1)は、その負の電源電圧よりさらに低い入力電圧でも動作することができ、単一電源動作に有用であるが、正負電圧の電源があれば、どんなオペアンプでも利用できる。リレーK1は動作モード切り替え用で、Q1を通して駆動する。
2つのソースモードを有する太陽電池モジュールの特性測定に有効
MOSFETがこの回路のキーである。「IRF150」を並列に追加すれば、電流処理能力を高めることができ、その正の温度係数によって並列に接続したMOSFETを流れる電流が平準化される。この回路では2個のMOSFETを用いており、10Aまでの負荷を扱うことができるが、消費電力は100Wを超えるので、ヒートシンクや小型ファンを併用するのがよい。
この回路は、2つのソースモードを有する太陽電池モジュールの特性測定に有効である。この回路とPCシステムを用いた測定により、例えばイタリアHelios Technology社の太陽電池モジュールのI‐V特性にはVMPP(最大点電圧)より上の領域があり、この電圧で電圧源に対応するシャープな遷移を示すことが分かる(図2)。VMPPより低い電圧では、太陽電池モジュールは電流源のようになる。この特性の平たんな領域を単純な電流モード電子負荷によって測定するのは、通常は難しい。出力電圧は電流が少し違っても変化しやすいためで、定電圧モード負荷とするほうが賢明である。
Design Ideas〜回路設計アイデア集
【アナログ機能回路】:フィルタ回路や発振回路、センサー回路など
【パワー関連と電源】:ノイズの低減手法、保護回路など
【ディスプレイとドライバ】:LEDの制御、活用法など
【計測とテスト】:簡易テスターの設計例、旧式の計測装置の有効な活用法など
【信号源とパルス処理】:その他のユニークな回路
※本記事は、2008年7月29日にEDN Japan臨時増刊として発刊した「珠玉の電気回路200選」に掲載されたものです。著者の所属や社名、部品の品番などは掲載当時の情報ですので、あらかじめご了承ください。
「珠玉の電気回路200選」:EDN Japanの回路アイデア寄稿コラム「Design Ideas」を1冊にまとめたもの。2001〜2008年に掲載された記事の中から200本を厳選し、5つのカテゴリに分けて収録した。
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