マイコンのI/Oポート1個でバーグラフを制御:Design Ideas ディスプレイとドライバ(2/2 ページ)
バーグラフは状況を直感的に理解しやすいメリットがあるが、多くのマイクロコントローラが必要になったり、種類が限定されてしまったりする。今回は、その2つの欠点を回避する回路を紹介する。ポート数を節約したい場合や子基板を追加するといった改修を行う場合に適している。
バーグラフのうち、N個のセグメントだけを発光させるには、マイクロコントローラ出力から幅がT3のパルスを(8−N)個だけ順次送出する。これらのパルスは、T2より短いサイクルで出力されるように設計する。そうすれば、NANDゲートの出力はハイのままとなり、シフトレジスタはクリアされない。マイクロコントローラからの出力パルスのそれぞれの立ち上がりエッジに対応して、IC2の出力がQA、QB、QCの順にハイに変化する。
シフトレジスタIC2のQA端子は、バーグラフの最上位セグメントに接続されている。つまり第1パルスによって最上位セグメントがオフになる。(8−N)個のパルスの場合、最上位セグメントから始まって、(8−N)個のセグメントがオフになり、最下位セグメントからN個のセグメントが発光している状態で保持される。
このようなロジックであるため、シフトレジスタのシンク電流8mAに対し、ソース電流が0.4mAという特性を有効に活用でき、出力バッファを付加しなくても高輝度でのバーグラフ表示が可能になる。なお、図2は8セグメントのうちの5セグメントを発光させる場合のタイムチャートである。
マイクロコントローラのI/Oポート(出力ポート)をもう1つ利用できる場合、単安定マルチバイブレータIC1とNANDゲートIC3は不要である。その出力ポートからローを出力してシフトレジスタをクリアすることにより、バーグラフの表示を更新できる。
また、表示分解能を向上させるには、シフトレジスタをカスケードに接続してセグメント数を増やせばよい。M個のセグメントのうちのN個のセグメントを発光させる場合、(MN)個のパルスをシフトレジスタのクロック入力に与えることになる。
Design Ideas〜回路設計アイデア集
【アナログ機能回路】:フィルタ回路や発振回路、センサー回路など
【パワー関連と電源】:ノイズの低減手法、保護回路など
【ディスプレイとドライバ】:LEDの制御、活用法など
【計測とテスト】:簡易テスターの設計例、旧式の計測装置の有効な活用法など
【信号源とパルス処理】:その他のユニークな回路
※本記事は、2008年7月29日にEDN Japan臨時増刊として発刊した「珠玉の電気回路200選」に掲載されたものです。著者の所属や社名、部品の品番などは掲載当時の情報ですので、あらかじめご了承ください。
「珠玉の電気回路200選」:EDN Japanの回路アイデア寄稿コラム「Design Ideas」を1冊にまとめたもの。2001〜2008年に掲載された記事の中から200本を厳選し、5つのカテゴリに分けて収録した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 電源ICを使ったLEDの定電流駆動回路
LEDが光源として注目を浴びている。従来に比べて、効率や信頼性が高い場合が多いからだ。スイッチング電源を使えば、バラスト抵抗を用いた電流の制限方法に比べてさらに効率を高められる。 - 並列接続したLEDへの供給電流を均一にする
平衡リアクトルを使って並列接続したLEDへの供給電流を均一にする方法を紹介する。 - LEDの異常を検出できるドライバー回路
今回は、LEDの異常状態検出機能を備えたLEDドライバー回路を紹介する。 - 1セル乾電池で白色LED をフラッシュ点灯
一般に、白色LEDの順方向電圧は3〜5Vであるため、公称電圧が1.5Vのアルカリ乾電池1セルで駆動するのは難しい。1Vといったより低い電圧では、白色LEDの駆動はさらに難しくなる。だが、今回は、1Vと低い電源電圧で白色LEDをフラッシュ点灯(点滅)させる回路を、個別半導体素子で実現する方法を紹介する。