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スイッチノードリンギングの原因と対策広い入力電圧範囲の高速DC-DCコンバーターで発生する(6/6 ページ)

昨今、広入力電圧範囲DC-DCコンバーターが使用されるケースが増えてきたが、MOSFETの高速のターンオンとターンオフは、スイッチノードのリンギングを発生させ、さまざまな障害の原因となっている。そこで、本稿では、DC-DCコンバーターにおけるスイッチノードリンギングおよびスパイクのメカニズムを取り上げ、その発生メカニズムと対策方法を詳しく解説する。

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スイッチノードのショットキークランプ

 SW2ノードが負になるのを防ぎ、BOOT−SWピンへの過剰電圧からゲートドライバを保護するための効果的な方法は、ショットキークランプを使うことだ(図10)。


図10:集積化ドライバのBOOTとSWへの過剰電圧を防ぐ方法
(1)BOOT2とSW2の間のツェナークランプ
(2)SW2の負電圧スパイクを防ぐためのショットキークランプ

 SW2がショットキーの順方向降下よりもさらに負にスイングしようとすると、ショットキーが順方向バイアスになる。図11はショットキークランプ使用時の負電圧スパイクの減少例を示す。


図11:ショットキークランプはスイッチノードの過剰な負スイングを防ぐ

BOOT‐SW間のツェナークランプ

 BOOT2‐SW2のバイパスコンデンサー(図10のCBOOT2)は、SW2(図5)に負電圧過渡によってバイアス電圧(VCC)以上に充電されることがある。この過剰充電を防止する効果的な方法が、図10に示すように、BOOT2とSW2の間にツェナークランプを付加することだ。CBOOT2が公称電圧以下に放電されることのないよう、ツェナークランプ電圧はVCC安定化電圧よりも少し高めに選定する。SW2の負電圧過渡がCBOOT2電圧を公称電圧以上に上昇させると、ツェナークランプが余分な電荷を放電するためのパスを形成する。ツェナーの適切な位置は、CBOOT2を直接またぎ、ドライバICピンの近くになる。

まとめ

 広入力電圧範囲のDC-DCコンバーターICの業界トレンドは、ゲートドライバを集積化し、スイッチを高速化することだ。集積化ゲートドライバは、旧世代のディスクリート形ドライバと比較し、定格電圧が低く、マージンも小さい。電源設計者は、こうした低い定格と電圧を扱うための新しい設計実務を学ぶ必要がある。

 本稿では、スイッチノードリンギングの原因、昇降圧コンバーターの設計に及ぼす影響を解説した。ゲート抵抗、スナバ回路、スイッチノードのショットキークランプおよび、ドライバのブートストラップとスイッチノードの間のツェナークランプを利用し、さらにFETの適切な選定および良好なレイアウト設計を併せて行うことにより、DC-DCコンバーターのロバスト性を効果的に改善することが可能だ。

【著:Vijay Choudhary氏/Texas Instruments アプリケーションエンジニア】


参考資料:
(1)Controlling switch-node ringing in synchronous buck converters, Robert Taylor, Texas Instruments Analog Applications Journal, 2Q12.
(2)Ringing Reduction Techniques for NexFET High Performance MOSFETs, Texas Instruments Application Report (SLPA010), November 2011.

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