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Google傘下が主導した無線規格「Thread」とはIoT時代の無線規格を知る【Thread編】(1)(3/3 ページ)

家庭やオフィスに無線メッシュネットワークを形成し、丸ごとインターネットに接続できる低消費無線通信の新規格「Thread」。Threadは、Wi-FiやBluetoothなどの既存の無線規格で実現することが難しいIoTの世界を実現する。今回は入門編として、Threadの基礎を紹介する。

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ネットワーク管理機能と高セキュリティを両立


図5:「Commissioning」ツールの例 (クリックで拡大) 出典:The Thread Group

 Threadでは、メッシュネットワークのうち、どこか1つのノードにトラブルや障害が発生しても全体のネットワークは継続する。これは、「No single point of failure」と呼ばれる。

 つまり、何らかの事態が発生した際にも、ネットワークは自己修復して、障害発生地点以外では通信を続けるよう設計されている。

 また、高いセキュリティを確保するため、ネットワークに参加する方法も規定されており、手順は「Commissioning」と呼ばれる。その段取りをより簡単にする、スマートフォンアプリも用意されている(図5)。

長期電池駆動も可能

 将来の家庭内のネットワークを考えた場合、多くの機器は場所を自由に選ぶことができると同時に、電源がないことが考えられる。つまり、無線センサーやスイッチが電池で駆動する必要がある。電池駆動ができると、これまでインターネットにつながっていなかった生活必需品や消耗品にも、残量データやメンテナンス状態をリモートで確認できるサービスを始めることも可能になる。図6のように、さまざまな家庭内のモノがインターネットに接続されることで、ビジネスモデルの変革が起こることも期待される。

 Threadでは、エンドデバイスが自己の都合でスリープ状態に留まることができる。データ受信もアクティブ状態で待つのではなく、スリープからの復帰の度にルーター端末へ自分宛てのデータがあるかを問い合わせる。エンドデバイスが“ポストを見に行くような感覚”でデータを取得しに行くイメージに近い。これにより、長期間の電池駆動を可能にしている。


図6:Threadで構築するホームネットワークの例 (クリックで拡大) 出典:The Thread Group

IoTの夢の世界を現実に

 現在、Wi-FiでPCやテレビがインターネットにつながっている家庭も珍しくない。一部の家庭は家電もつながっているかもしれない。そのインターネットで使用されているプロトコルがIPである。その通信手段はWi-Fiや3G/LTEなどの移動体通信網だ。

 しかし、IoTで活用される無線センサーやスイッチといった長期の電池駆動の通信手段にはこれらの技術は不向きである。Threadにより、IoTで本来必要だったが、まだ世の中になかった規格が定義され、多く語られていたIoTの夢の世界が現実となるだろう。

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