5G実現へ検討される新たな周波数帯と変調方式:計測器メーカーから見た5G(2)(3/4 ページ)
5Gの要素実現に向けて、センチ波やミリ波などの周波数帯、新たな変調方式などが活発に議論されている。連載第2回目となる今回は、5G実現に向けた新たなエアインタフェースについて解説する。
各変調方式の特徴を紹介
ここからは、それぞれの変調方式の特徴について紹介していく。
GFMD(Generalized Frequency Division Multiplex)
現在LTEなどで使われているOFDMでは、基本的に矩形(くけい)窓として表されるシンボル時間Δtの逆数Δfをサブキャリア間隔としている。これにより、各サブキャリア位置でのスペクトルサイドローブによる干渉がゼロとなり、サブキャリアは直交する。
一方で矩形窓によるスペクトルサイドローブは、緩やかに減衰しながら離れた周波数まで影響することになる。この離れた周波数まで存在するスペクトルサイドローブが、帯域外発射の発生に影響を与えている。
GFDMでは、サブキャリアにフィルターをかけることで、サブキャリア間の直交性の劣化と引き替えに、帯域外発射を十分に抑圧する方式である。サブキャリア間の干渉が発生する一方で、ホワイトスペースなど非常に低いレベルの帯域外発射が求められているケースにおいて特に優れているといえる。受信機側では、サブキャリア間の干渉を抑えるために干渉キャンセラーが必要となる。
FBMC(Filter-Bank Multi Carrier)
FBMCでは、サブキャリアごとにフィルタリングを行う。各サブキャリアの変調方式としてオフセットQAMを用いる。オフセットQAMを用いることで、各サブキャリアのデータシンボルの実部、虚部における直交性を保つことができる。
そのためFBMCでは、OFDMのようにサイクリックプリフィックスを用いる必要はない。また、フィルタリングを行うことにより、帯域外輻射はOFDMと比較し優れた特性を示す。FBMCは移動しながらの通信にも適している。しかし、MIMOへの拡張やフィルターの時定数の影響による遅延は課題となっている。
- | CP-OFDM | FBMC | GFDM | UFMC | f-OFDM | |
---|---|---|---|---|---|---|
Full Name | Cyclic Prefix OFDM |
FilterBank MultiCarrier |
Generalized Frequency Division Multiplexing |
Universal Filtered Multi-Carrier |
filtered OFDM |
|
Note | - | Offset-QAM provides orthogonality |
Cyclic filtering forms time-domain segmentation |
Same parameters for each sub-band |
Different sub-carrier spacing per sub-band |
|
Cyclic Prefix |
All carriers | No | All carriers | No | Sub-band | |
Filter in frequency |
- | Sub-carrier | Sub-carrier | Sub-band | Sub-band | |
Filter in |
- | symbol (Polyphases) |
Frame | symbol | Frame |
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