セキュアで安全な通信制御が可能になるマイコン:ルネサス RX65N/RX651グループ
ルネサス エレクトロニクスは、32ビットマイコン「RX65N/RX651」グループのサンプル出荷を開始した。設置環境の変化やエンドユーザーの要望に応じて機器制御の更新ができるという。
開発期間を約20%低減
ルネサス エレクトロニクスは2016年10月、ネットワーク化の進む産業機器のシステム制御や流通・物流などに利用されるポータブル端末向けに、32ビットマイコン「RXファミリ」の次世代メインストリームとなる「RX65N/RX651グループ」を開発し、サンプル出荷を開始した。
RX65N/RX651グループは、40nmプロセスを採用したRXv2コアを搭載。動作電流は15mA(Typ.)で、電力性能は34.4Coremark/mA。内蔵メモリは、1Mバイトのフラッシュメモリと256KバイトのRAMを搭載する。電力性能は業界同等クラス製品と比較して最大5倍。同時に、内蔵メモリでプログラムやバッファ領域を確保し、外部メモリアクセスが不要なため、バッテリー駆動時間が格段に向上している。
新製品は、イーサネット、USB、CAN、UART、SPI、I2Cなどの有線通信機能を従来品から継承し、無線LANモジュールと4ビットデータ接続が可能なSDホストインタフェースを搭載。Quad SPI、256Kバイトの大容量RAMを内蔵し、通信機能を強化している。
通信データの暗号・復号に使用可能なAES、TRNGのハードウェア暗号モジュールを搭載し、安全に通信が可能だ。内蔵フラッシュメモリのプログラムを書き換える際、指定領域への書き換えにプロテクトをかけるエリアプロテクション機能を実装。プログラムを安全に書き換えられる。これらの機能により、ネットワーク経由でのセキュアな通信を確保。設置環境の変化やエンドユーザーの要望に応じて機器制御の更新ができる。
マイコン、評価ボードと同時に、ドキュメント、デバイスドライバ、ミドルウェアなどがIDE(Integrated Development Environment:統合開発環境)と連携した環境を準備。入手後すぐに開発と評価ができるデバイスソリューションを提供する。
デバイスドライバ、ミドルウェア群は、RXファミリー統一規格のFITを適用。APIの共通化により、FIT対応の既存製品と容易に相互移行できるという。また、デバイスドライバ、ミドルウェア群はサンプルソースと組み合わせて活用できる。ドキュメントの更新や参照は、e2studioなどのIDEと連携して動作するため、開発時の使いやすさが向上。これにより、システム全体の開発期間を約20%低減できるとした。
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