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Threadにおけるボーダールーターの役割(前編)IoT時代の無線規格を知る【Thread編】(8)(3/5 ページ)

ホームネットワーク向け無線規格として注目を集める「Thread」を解説する本連載。今回からは、Threadネットワーク内のノードと外部ネットワークにある他のデバイスとの接続を行う役割を持つ「ボーダールーター」について前後編に分けて紹介する。

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IPv6グローバルアドレス

 外部ネットワークリンクとパケットをやりとりする能力と、外部のルーティング方法やプロトコルに参加していることがボーダールーターの主な特徴である。

 ThreadネットワークはIPv6を使用してのみ稼働する。IPv4アドレスは、Threadネットワーク内の通信ではサポートされない。

 Threadネットワーク内のデバイスは、グローバルのIPv6ネットワークに参加することができる。IPv6ネットワークに参加するには、RFC4291に記述されているGUA(Global Unicast Address)を活用することで可能となる。

 ボーダールーターからネットワークの上流方向でグローバルプレフィックスの委任が可能なインフラの場合、Threadノードは少なくとも1つのGUAを割り当てられる。

 ボーダールーターは、提供するグローバルプレフィックス情報をThreadリーダーに通知して、ネットワークのデータセットに加えてもらい、Threadネットワーク内に通達される仕組みとなる。場合によっては、RFC3315に記載されているように、ボーダールーターはDHCPv6メッセージを通じて、各Threadノードに個別のグローバルアドレスを割り当てることもできる。ボーダールーターにより通達されたプレフィックスに基づき、SLAACアドレスを各ノードが使用するというオプションも可能である。

 ボーダールーターは、外部のプレフィックス配布プロトコル(DHCPv6-PD、L2TP-VPN、HNCPなど)に参加することで、グローバルプレフィックスの割り当てを得る。必要な場合、ボーダールーターは、外部のルーティングドメインにも参加する。

IPv6 ユニークローカルアドレス


画像はイメージです

 Threadネットワークのデバイスは、RFC4193に記述されているULA(Unique Local Address)をサポートする。Threadネットワークは、メッシュルーティングとネットワーク内の管理を目的として特定のULAのカテゴリーを使用する。

 ThreadネットワークとしてはMLA(Mesh Local Address)と呼ぶが、ML-EID(Endpoint ID)、ML-RLOC(Routing locator)のいずれかとなり、MLP(Mesh Local Prefix)として参照されるULAプレフィックスで識別される。MLAを使用した通信は、ボーダールーターを経由した外部ネットワークには中継されない。

 Threadインタフェースに他のULAを割り当てるのに、補助ULAプレフィックスを使用することができる。これにより、IPv6ファブリックを作り、複数の構内のサイトローカルサブネットと仮想的な広域のプライベートネットワークを作ることが可能だ。

 このように、ULAは上位のWANのインフラがIPv6のグローバルプレフィックスの供給を行わない場合や、インターネットとの接続が不要もしくは阻害されるべきアプリケーションである場合には有効である。

 補助ULAプレフィックスの割り当ては、グローバルプレフィックスが、ボーダールーターからThreadネットワークに提供された手順と同様に行われる。

 RFC7084に推奨される通り、サイトローカルの補助ULAプレフィックスはCE(Customer Edge)ルーターにより生成できる。

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