ダイオードで学ぶパワーエレクトロニクスの基本:イチから学ぶパワエレ入門(1)(3/4 ページ)
半導体素子の基本を学びながら、パワーエレクトロニクスの核心に迫っていく本連載。今回は手始めとして、電気と半導体の基本を簡単に説明しつつ、半導体素子の基本であるダイオードを使った電力変換について解説していきましょう。
ダイオードによる電力変換
では、ダイオードは電力制御において、どのように活用できるのでしょうか。基本のおさらいになりますが、電力には図9のように直流と交流があります。
直流は正負の方向が入れ替わらない形で、乾電池や建物の非常用蓄電池で使用されます。一方、時間によって正負の向きが入れ替わる形を交流といいます。交流は直流とは違い、大きさの他に周波数があります。家庭のコンセントに流れる電気など、電力会社から供給される電気の形はこちらです。
ダイオードを用いることで、コンセントなどの交流を直流に変換できます。このとき用いられる電気回路を「整流回路」といいます。また、整流回路は図10にあるように、「半波整流回路」と「全波整流回路」があります。
一般家庭のコンセントなどに供給されている「単相交流」を整流した場合の出力波形を確認しましょう。まず、半波整流回路では図11と図12のように、順方向(入力波形の赤い部分)の電圧がかかると、ダイオードが導通し(電気回路の赤い矢印)、出力波形が現れます。一方、逆方向(波形の青い部分)の場合はダイオードが導通しないため(回路の青い矢印)、出力波形が現れません。このように、入力波形の「半分だけ」が出力波形として現れます。
次に、全波整流回路を見てみましょう。全波整流回路ではダイオードが計4つ、入力波形のプラス側とマイナス側でそれぞれ2つ使用されます。いずれも順方向のダイオードが導通するため、入力波形がプラスのときは赤い矢印、マイナスのときは青い矢印の回路が導通しています。図13の出力電圧Voを通っている矢印の向きを見てください。赤の矢印も青の矢印も同じ方向を向いています。
次に図14を見てください。全波整流回路では入力のプラス側はそのまま、マイナス側はプラス側に反転して出力として現れ、入力波形の「全て」が利用できているのです。
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