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コンバーターの回路方式DC-DCコンバーター活用講座(4) 電力安定化(4)(2/3 ページ)

今回の記事では、同期式と非同期式の違いの他、2段式やマルチフェーズといったコンバーターの回路方式について説明する。

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Ćukコンバーターの長所

実用的ヒント

 1段の昇降圧コンバーターに対するĆukコンバーターの長所は、L1とL2を流れる電流が同じで連続していることです。入力電流と出力電流は両方とも効果的にLCでフィルターされ、高周波干渉はほとんど生じないのでEMCが非常に簡単になります。また、両方のインダクターの電流が同じなのでコアを共有することができ、そのため構造が簡単になり、リップル電流をさらに減らすのに役立ちます。


 また、インダクターを介して充放電するコンデンサーが、抵抗性損失を伴う高電流スパイクを防ぐので、このデザインは非常に効率がよくなります。さらに、S1スイッチが接地されているので、駆動回路に簡単な低損失FETを使用することができます。

 Ćukコンバーターの最大の短所は、C1に大きく依存することです。入力から出力へ流れる全電流がこのコンデンサーを通る必要があり、コンデンサーの両端の電圧が半サイクル毎に反転するので、このコンデンサーは無極性でなければなりません。高リップル電流が内部で熱を発生し、動作温度を制限します。

 実際は、大きく高価なポリプロピレンコンデンサーを使用する必要があります。さらに、安定して動作するようにPWM制御ループを注意深く設計する必要があります。4個のリアクティブ部品(2個のインダクターと2個のコンデンサー)については、制御回路に不要な共振が生じないように細心の注意を払う必要があります。

2段の昇降圧SEPICコンバーター

 昇降圧コンバーターの短所の1つは反転出力電圧です。この問題はSingle Ended Primary Inductor Converter (SEPIC)と呼ばれる2段のデザインによって排除することができます。

 このデザインは基本的にはĆuk(2段:昇圧コンバーターの後に降圧コンバーターが続く)に似ていますが、SEPICトポロジーではインダクターL2とダイオードD1が入れ替わっているところが異なります。このため、出力の極性を入力の極性と同じにすることができます。


図3:SEPICトポロジーの簡略回路図 出典:RECOM(クリックで拡大)

図4:SEPICコンバーターの特性 出典:RECOM(クリックで拡大)

エネルギーの伝達はĆukコンバーターの場合と似ており、次のような伝達関数になります。



 出力電圧の極性が入力電圧と同じなので、SEPIC回路は再充電可能な電池を使うバッテリー駆動アプリケーションに最適です。バッテリーチャージャを使ってバッテリーを再充電し、同時にアプリケーションに給電することができます。なぜなら両方とも同じグランドレールを共有するからです。Ćukコンバーターと同様、SEPICは入力電流波形が連続しているのでEMCフィルタリングが簡単です。

実用的ヒント

 SEPICはよくLED照明のアプリケーションに使用されます。コンデンサーC1は本来出力短絡保護機能があり、帰還ループを容易に定電圧レギュレーションではなく定電流レギュレーションに変更することができ、さらにV-レールが共通なのでEMCフィルタリングが簡単になるからです(LED照明のアプリケーションでは、厳格な入力高調波干渉リミットを満たす必要がある)。

 SEPICコンバーターの短所は、従来の1段の昇降圧コンバーターと同様、出力電流波形がパルス状であり、Ćukコンバーターと同様、共振を起こしやすい複素4ポール帰還関数であることです。


2段の昇降圧ZETAコンバーター


図5:ZETAコンバーターの簡略回路図と特性 出典:RECOM(クリックで拡大)

 SEPICトポロジーのもう1つのバリエーションとして、ZETAコンバーター、つまり反転SEPICコンバーターがあります。昇圧段の後ろに降圧レギュレーターが続く代わりに、ZETAコンバーターでは降圧コンバーターの後に昇圧段が続きます。構成し直したトポロジーは、出力と入力の極性が両方とも正であるという意味で、SEPICデザインの長所を維持しています。

 エネルギー伝達はSEPICトポロジーに似ているので、同じ伝達関数になります。



 SEPICコンバーターと比較したZETAトポロジーの長所は、帰還ループがより安定しているので、広い入力電圧範囲および高い負荷過渡に対して、共振を生じることなく対処できることです。また、出力リップルが同等のSEPICデザインよりかなり小さくなります。

 短所としては、ZETAトポロジーは入力リップル電流が大きいので、同じエネルギー伝送により大きなC1コンデンサーが必要であり(中間電圧が低い)、S1スイッチは接地されていないので、PチャンネルFETを駆動するのにレベルシフト回路が必要です。

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