IoT向けセキュリティソリューションの提供で協業:STマイクロ IoT機器向けセキュリティソリューション
STマイクロエレクトロニクスは、韓国Security Platformと協業し、標準セキュリティ規格に準拠した認証用IC「STSAFE-TPM」と、組み込みセキュリティソフトウェア「Axio-OS」「Axio-RA」を組み合わせたセキュリティソリューションを提供する。
サイバー攻撃に対する耐性を強化したソリューション
STマイクロエレクトロニクスは2017年8月、組み込みセキュリティソフトウェアを手掛ける韓国Security Platformと協業すると発表した。両社のハードウェアとソフトウェアを組み合わせ、サイバー攻撃に対する耐性を強化したIoT(モノのインターネット)機器向けのセキュリティソリューションを提供する。
今回の協業では、標準セキュリティ規格に準拠したSTマイクロエレクトロニクスの認証用IC「STSAFE-TPM」と、Security Platformの組み込みセキュリティソフトウェア「Axio-OS」「Axio-RA」を組み合わせ、容易に使用可能なIoT向けセキュリティソリューションの提供を目指す。
STSAFE-TPMは、耐タンパ性、メモリ保護、データ監視などの技術を採用し、システム認証に必要な暗号鍵などのデータを安全に保存できる機能を持つ。Trusted Computing Group(TCG)のTPM1.2やTPM2.0のプロテクションプロファイル、ITセキュリティのCommon Criteria Level 4+(CC EAL4+)認証、米連邦情報処理基準(FIPS)140-2などのセキュリティ標準に準拠するTrusted Platform Module(TPM)だ。
Security PlatformのAxio-OSセキュアオペレーティングシステムと検証ソリューションAxio-RAリモートアテステーションは、離れたサーバから機器のハッシュ情報を検証し、完全性への侵害の有無を確認する。複製や偽造に対する保護や機器の認証、メッセージの署名、適切な署名コードのみを使用するセキュリティアップデートなどの処理も実施する。
両社では、協業によるセキュリティソリューションの提供に加え、ユーザーが既存のSTSAFE-TPM ICとAxio-OS、Axio-RAソフトウェアを組み合わせて活用できるようにする。Axio-OSとAxio-RAは、ボードとチップセットで構成された開発キットをSecurity Platformから入手できる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- TPMによって拡張したセキュリティモジュール
STマイクロエレクトロニクスは2016年12月、システム認証用データをハードウェアに記録するセキュリティモジュール「ST33HTPH2ESPI」と「ST33HTPH20SPI」を発表した。 - 究極のセキュリティ技術?量子暗号
量子暗号は、アルゴリズムの複雑さではなく、量子力学理論と単一光子の組み合わせを用いた物理学で安全性を実現する技術である。 - Bluetooth 4.2 セキュリティ対策の仕組み
さまざまなモノがインターネットにつながる中、自分の行動が簡単に追跡されてしまうという、プライバシーに対する懸念も高まっている。Bluetooth 4.2では、セキュリティとプライバシー保護の機能が強化された。今回は、「LEプライバシー」と呼ばれる仕組みを紹介しよう。 - リーク電流は「暗号」まで漏らす?
ハッカーがセキュリティを破る手法の1つに、暗号化回路に用いられる各種デバイスの電気的動作など、ハードウエアレベルの物理的な現象を利用する「サイドチャンネル攻撃」がある。このサイドチャンネル攻撃の中でも、半導体チップのリーク電流を利用する手法に対し、憂慮の声が挙がっている。本稿では、微細プロセスで増大するリーク電流を測定/解析することで、暗号化回路の秘密鍵に関する情報が読み取られる可能性について考察する。 - Google傘下が主導した無線規格「Thread」とは
家庭やオフィスに無線メッシュネットワークを形成し、丸ごとインターネットに接続できる低消費無線通信の新規格「Thread」。Threadは、Wi-FiやBluetoothなどの既存の無線規格で実現することが難しいIoTの世界を実現する。今回は入門編として、Threadの基礎を紹介する。 - 組み込み市場としての「カジノ」の可能性
カジノは、組み込み機器メーカーにとって、市場規模の面で非常に魅力的な存在である。最新のゲーム機器は、最先端のエレクトロニクス技術によって支えられているからだ。では、この分野で必要となる技術とはどのようなものなのだろうか。また、この市場の成長を妨げる要因があるとすれば、それは何なのか。本稿では、こうした疑問に対する答えをまとめる。