検索
連載

なぜこんな仕様に? 不便な保護回路付きリチウム電池ホルダーを改造Wired, Weird(2/4 ページ)

今回は、少し取り扱いに注意がいる「18650リチウムイオン二次電池」にうってつけと思い購入した保護回路付き電池ホルダーを取り上げる。便利な電池ホルダーだと思って手に入れたものの、不便極まりない仕様になっていた――。そこで、不便さを解消すべく、保護回路をじっくり観察し、改造を施すことにした。

Share
Tweet
LINE
Hatena

頼れる電池ホルダーと思いきや“大きな落とし穴”が……

 さて本題に入るがこの電池ホルダーで、不具合ともいえるような“不便”が生じた。電池をホルダーから抜いて充電し、再びホルダーに電池を戻すと電池の電圧が出力されないという症状だ。

 充電済みの電池を入れても電圧が出力されない原因を確認するため、このホルダーを扱っている販売店のWebサイトで仕様や取り扱い方法を詳細に確認した。すると、以下の注意書きが記載されていた。

※電池をホルダーに収納し、充電器に接続した後のみ保護回路はオンになり、出力確認できます。
※前もって充電した電池をホルダーに収納しても保護回路はオンになりませんのでご注意ください。

 注意書きの意味が分かりにくいが、このホルダーは電池を入れたままで充電する用途だけに使うホルダーのようだ。電池の点検のために充電された電池をホルダーに入れて確認するといった使い方はされるはずだ。そもそもホルダーを初めて使う時には、充電された電池を入れるはずだ。いきなり、保護回路が働いてしまい電圧が出力されないとなれば、クレームが多く寄せられているのではないだろうか。なぜ、こんな使いにくい仕様にしたのだろう。保護回路に何か不都合でもあるのだろうか?

 原因を探るべく、保護回路をホルダーから基板を取り出した。保護回路の実装面を図4に示す。


図4:保護回路基板の実装面

 保護回路は配線が出ている図3の基板の背面に実装されていた。上2つのスルーホールに電池のマイナス端子、右下にプラス端子が接続されていた。基板にIC2個と抵抗2本とコンデンサー1個が実装されていた。抵抗R1は470Ωで0.1μFのコンデンサーC1が直列接続されていた。抵抗R2は2kΩだ。Q1はトランジスタで、2個のFETが内蔵されていると思われた。U1の6ピンICが電池の保護ICだろう。U1に記載された型名「G2JL」のデータシートが見つかりさえすれば回路は把握できる。電池を交換しても使える便利なホルダーに改造できると思った。

保護ICのデータシートがない!

 しかし、「G2JL」の型名検索で、データシートは見つからなかった。G2JLとBatteryのキーワードでWeb検索を行ったところ、わずか1件だけだがヒットした。

 G2JLという型名のICは中国の通販サイトではオリジナル品として記載されていた。しかし、ここにもデータシートは開示されていなかった。検索でヒットした通販サイトとおぼしきWebサイトには“Original”と記載されているが、恐らくどこかのICメーカーのコピー品なのだろう。

 図4の基板には実装部品が少なくパターン接続も簡単だったので、回路を追いかけ、手書きの接続図を書いた。図5に示す。


図5:筆者が手書きで起こした保護回路の接続図

 「G2JL」に電源が供給されており、やはりこれがリチウム電池の保護ICだった。5番ピンと6番ピンでリチウム電池の電圧を、2番ピンで過電流を監視し、1番ピンと3番ピンでFETのゲートを制御して電池出力のオン、オフ制御を行っているようだ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る