終端方式と高速シリアルI/Fデバイス:高速シリアル伝送技術講座(5)(3/3 ページ)
今回は、LVDS、CML/PECL、計測器などの終端方法と、シリアル伝送デバイスの種類について解説します。
高速シリアルI/Fデバイスの種類とアプリケーション
連載第1回ではLVDSやPECL/CMLなど高速シリアルI/Fで使用される物理層を紹介しましたが、この物理層を使用した製品群は図14のように大きく3種類に分類できます。ここではこの3つの製品群について紹介していきます。
1つ目はLVDSの物理層製品です。シングルエンド信号を差動に変換し信号を高速に伝送したり、差動信号をバッファ、スイッチ、分配したりする単純なLDVSの製品群です。低消費電力、高ノイズ耐性、低不要輻射ノイズが特長です。
2つ目は信号が高速になると伝送路のロスが大きくなり、ISIジッタの発生によりEYEの開口が小さくなるため、ドライバーではエンファシスの機能を、レシーバーではイコライザの機能を付加しEYEの開口を大きくするシグナルコンディショニング製品群です。物理層はLVDS、CML/PECLなどを使用しています。
3つ目はパラレルの信号をシリアルの高速差動方式に変換して伝送するシリアライザとデシリアライザ(SerDes)です。信号としては多ビットバスのデータやRGB/YCCなどの画像系のデータが挙げられます。SerDesの高速シリアルI/Fは2つ目のシグナルコンディショニング機能を含んだ製品も多くあり、ケーブル長の延長や高速伝送を可能としています。またCDR(クロックデータリカバリー)もこの製品群に該当します。
これら3種類の製品群は図15にあるようなケーブルI/F、基板内/基板間、SoCやASIC、FPGA信号のブーストなど、高速インターフェースI/Oの性能や利便性の向上のために使用されています。
また図16のようにデータセンターや通信系のハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)、OAや産業機器、車載や医療機器、計測器、PCやデジタルTVなどの民生製品に至るまでさまざまなアプリケーションで使用されており、データ量の増大や高解像度など、各マーケットの要求に対応しています。
今回は終端方式と高速シリアルI/Fデバイスについて説明しました。終端方法というのはLVDS、CML、TTL/CMOSなどのテクノロジーに関係なく、自由度が高いことが分かったのではないでしょうか?
次回から、引き続きシリアルI/Fデバイス3種類の機能や特長について説明していきます。
筆者Profile
河西基文(かわにし もとふみ)/ザインエレクトロニクス シニアエキスパート
ナショナルセミコンダクタージャパンやジェナムジャパンなど、25年にわたり高速通信系半導体の製品開発・サポートおよびマーケットの開拓に従事。伝送路を含んだ半導体の高速設計手法が確立されていない時代に、LVDSオーナーズマニュアルの作成など、同マーケットの成長・普及に寄与してきた。
現在は日本のSerDes製品開発の先駆者的存在のザインエレクトロニクスで、プロダクトマーケティング・開発支援や人材育成などを行っている。
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