大容量メモリを搭載した低消費電力マイコン:STマイクロ STM32L4+
STマイクロエレクトロニクスは、ARM Cortex-Mベースのマイコン「STM32」ファミリーの最新製品として、120MHz動作時の性能を150DMIPS(233 ULPMark-CP)まで向上させた「STM32L4+」を発表した。
640KバイトのSRAMを内蔵
STマイクロエレクトロニクスは2017年11月、ARM Cortex-Mベースのマイコン「STM32」ファミリーの最新製品として、120MHz動作時の性能を150DMIPS(233 ULPMark-CP)まで向上させた「STM32L4+」を発表した。低消費電力マイコンとしては最大級の大容量メモリと高精細なグラフィック機能を備え、ウェアラブル機器やスマート機器、産業用スマートセンサーなどのメインコントローラーとして活用できる。
メモリ機能を強化するため、デュアルOcto SPIポートを採用。同インタフェースをサポートしたことで、シングル/デュアル/クアッド/オクタルSPI、HyperBusメモリ、Flashメモリ、SRAMメモリなどの外部メモリを、高速でコードアクセス可能な拡張領域や外部ストレージとして増設可能になった。
内蔵メモリとして、640KバイトのSRAM、1〜2Mバイトのフラッシュメモリを搭載した。高速演算処理をサポートしてグラフィック性能を最大化する他、書き込み、読み込みを同時処理し、多数のコードとデータを保存できる。内蔵のフラッシュメモリは、高度なエラー訂正機能も搭載している。
他に、CPU負荷を軽減する「Chrom-ARTグラフィックHWアクセラレータ」、円形ディスプレイ向けに処理を最適化する「Chrom-GRCグラフィック・メモリ・マネジメント・ユニット」などの機能も内蔵。円形ディスプレイに特化した処理が可能で、グラフィック処理の負荷を最大20%軽減できる。
また、Host、Device、OTGによるUSBサポート、モーター制御などに用いるタイマー、SPI、シリアルオーディオインタフェース、CANなどの通信インタフェース、信号処理、PDMとPCMの変換を可能にするΔΣモジュレーター用デジタルフィルターなども搭載した。
既に量産を開始しており、サンプル価格は約6.52米ドル。最大125℃までの高温対応品や、STM32L4+の144ピンパッケージ品を搭載したNucleoボード、開発キット「STM32L4+ Discovery Kit」なども用意している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 処理性能が最大220MHzのCortex-M4マイコン
NXPセミコンダクターズは、ARM Cortex-M4ベースのマイコン「LPC546xx」ファミリーの量産を開始した。併せて、ラインアップを拡充した他、TFBGA180、TFBGA100、LQFP208、LQFP100パッケージに対応した。 - PDMとPCMの変換フィルター内蔵32ビットマイコン
STマイクロエレクトロニクスは、低消費電力の32ビットマイコン「STM32L45X」を発表した。PDMとPCMの変換を可能にするデジタルフィルター「DFSDM(Digital Filter for Sigma-Delta Modulators)」を内蔵している。 - 最大1.5Mバイトのフラッシュを内蔵したマイコン
STマイクロエレクトロニクスは、最大1.5Mバイトのフラッシュメモリと320Kバイトのメモリを内蔵した、32ビットマイコン「STM32F413」「STM32F423」を発表した。 - 25種類の機能を備えたセンシング向けマイコン
日本テキサス・インスツルメンツは、低消費電力マイコン「MSP430」に、単価0.25米ドルの「MSP430FR2000」(メモリ容量0.5Kバイト)と「MSP430FR2100」(同1Kバイト)を追加した。 - マイコン周辺部品の選び方――電源編
マイコンユーザーのさまざまな疑問に対し、マイコンメーカーのエンジニアがお答えしていく本連載。今回は、初級者の方からよく質問される「マイコン周辺部品の選び方――電源編」です。 - 90nmプロセスの“90nm”ってどこの長さ?――マイコンの作り方
マイコンを作る工程をプロセスと呼びます。マイコンは多くのMOSトランジスタで構成されています。MOSトランジスタは、厳密にはMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)ですが、ここでは省略してMOSと呼びます。具体的には、シリコン(元素記号Si)上にMOSを作る工程がプロセスの主な工程になります。MOSの詳しい説明はいろいろな記事が既にありますので、今回はマイコンを使うエンジニアが必要とする知識で、プロセスに関係するものを説明します。