完全集積型デジタルDC-DC電源モジュール:ルネサス ISL8274M、ZL9024M
ルネサス エレクトロニクスは、コントローラー、MOSFET、インダクター、受動部品を1つのモジュールに集積した、完全集積型デジタル電源モジュール「ISL8274M」「ZL9024M」を発表した。
コントローラー、MOSFET、インダクター、受動部品を集積
ルネサス エレクトロニクスは2018年1月、完全集積型のデジタルDC-DC PMBus電源モジュールを発表した。30Aデュアルデジタルスイッチモード電源「ISL8274M」と33Aデジタルスイッチモード電源「ZL9024M」の2種。1000個購入時の単価はISL8274Mが39米ドル、ZL9024Mが29米ドルとなる。
両製品は、コントローラー、MOSFET、インダクター、受動部品を1つのモジュールに集積している。電源管理バス「PMBus」で設定が可能で、サーバ、電気通信、データ通信、光通信、ストレージ機器に使用されるFPGA、DSP、ASIC、メモリ向けのPOL(Point of Load)電圧変換機能を提供する。
同社の「ChargeMode」コントロールアーキテクチャを採用し、ほとんどの電圧変換で90%以上の効率を達成できる。特にISL8274Mは、最大95.5%のピーク効率を提供する。また、電力バースト処理中のFPGAやDSPに発生する出力電流負荷のステップ応答に対し、シングルクロックサイクルの高速負荷応答を可能にするという。
入力電圧はISL8274Mが4.5〜14V、ZL9024Mが2.75〜4V。出力電圧はISL8274Mが0.6〜5V、ZL9024Mが0.6〜1.5Vで、いずれもプログラムが可能だ。他に、ソフトスタートやソフトストップ、シーケンシング、マージニング、各種監視、標準設定用外付け抵抗を使用するピンストラップモード、内部不揮発メモリによるモジュール設定パラメーターと故障ログの保存などの機能も備えている。
パッケージは、ISL8274Mが18×23×7.5mmのHDA、ZL9024Mが17×19×3.5mmのHDAを採用。既に供給を開始しており、それぞれ評価ボードも提供している。
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