産業用および自動車向けの高精度測位技術:ユーブロックス u-blox F9
スイスのユーブロックスは、産業用および自動車用アプリケーション向けの高精度測位技術「u-blox F9」を発表した。GNSS(全球測位衛星システム)信号で測位誤差を補正し、初期測位時間を短縮。オプションにより、センチメートル級の精度で測位できる。
全てのGNSSコンステレーションから受信可能
ユーブロックスは2018年2月、産業用および自動車用アプリケーション向けの高精度測位技術「u-blox F9」を発表した。製品サンプルは2018年中に提供予定だ。
複数の周波数帯(L1、L2、L5)で、GNSS(全地球測位システム)信号を用いて電離層による測位誤差を補正し、初期測位時間を短縮する。GPS、GLONASS、Galileo、Beidouなど全てのGNSSコンステレーションから受信可能で、視野内の衛星の数を増やすことでパフォーマンスがさらに向上する。また、GNSS技術と推測航法、高精度アルゴリズムおよび各種GNSS補正データサービスと互換性がある。
スタンドアロンのu-blox F9は、メートル級の測位精度で動作することが可能。オプションのオンチップリアルタイムキネマティック(RTK)技術を利用すれば、センチメートル級の精度で測位できる。条件の厳しい都市環境においても、慣性センサーによる推測航法技術で高精度に動作する。
u-blox F9は、意図的あるいは意図的ではない干渉から保護するため、ジャミング(電波妨害)とスプーフィング(偽電波によるかく乱)検知システムを搭載。高度なセキュリティを確立した。
同技術は、産業用としては大型トラックやロボット芝刈り機などの地上走行車、ドローンなどに、自動車向けには車線レベルナビゲーション、車載インフォテインメントシステム、V2X(車車間、路車間通信)などに活用できる。
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