危険なモータードライバーの修理(2) ハイブリッドICの交換&学んだ教訓:Wired, Weird(2/3 ページ)
前回に引き続き、モータードライバーの修理の様子を紹介する。思わぬ落とし穴にはまって壊してしまったカスタムと思われるハイブリッドICを探すところから始めることにする――。
交換作業も苦戦
しかし、部品の交換作業でもまたまた難しい問題にぶつかった。修理後の基板写真を図3に示す。
図3の上には壊してしまったハイブリッドICを外して置いている。ハイブリッドICをみると、左側のリードが3本ないことが分かるだろう。図3の赤枠の部分が交換した部品の位置だ。FET、電力抵抗と電解コンデンサーは簡単に交換できた。しかし電源制御のハイブリッドICの交換が大変だった。
それはハイブリッドICの直下のハンダ面に3相電源用の全波整流のダイオードブリッジが実装されていたからだ。ハイブリッドICの左側の3つのリードがハンダ面でダイオードブリッジの部品と実装位置が重なっていた。
この実装構造ではかなり難しい交換作業だがやるしかない。まずはダイオードブリッジを外すことを試みた。しかしダイオードブリッジのリードが、かなり太かった。4本のリードうち3本を切ってみたが、残りの1本は周囲に実装部品が多くて狭い場所にあった。これではハンダ吸い取り器が使えそうもない。
ダイオードブリッジの取り外しはあきらめて、壊れたハイブリッドICの左3本の端子を部品面側から切断した。残りの6本の端子はハンダ面から吸引器を使ってハイブリッドICを取り出した。左3本のリードは部品面から抜いて、吸い取り器でハンダを除去したがハンダ面側のハンダがうまく取れない。やむを得ず、0.5mmの細いドリルで穴を通し、縫い針で穴を広げハイブリッドICを実装した。かなり強引な修理作業だった。
中古のハイブリッドICは正しく動くのか?
また、交換したハイブリッドICも中古品と思われ、正常に動作するかどうか不安があった。供給電源を短絡している可能性もあったので、通電する前に電源短絡の保護用ヒューズ付きのコンセント治具を作った。これで電源が短絡していても安心だ。写真を図4に示す。
図4の治具コンセントを通してAC200Vを通電し、制御ICの電圧値と波形を確認した。オシロスコープで電圧を測定したが電圧のふらつきは全くなくその他の二次電源も正常に動作していた。これならモータードライバーの修理は完了できそうだ。
電源基板をモータードライバーのケースに組み込み、操作基板を接続してモータードライバーに再通電した。パネルの表示も正常に点灯し、表示にはエンコーダーエラーが表示された。モーターは接続していないのでこのエラー表示は正常だ。これでようやく、モータードライバーを制御ボックスに戻せる。
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