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抵抗器(3) ―― ヒューズ抵抗器/ソリッド形、金属板抵抗器中堅技術者に贈る電子部品“徹底”活用講座(17)(2/2 ページ)

引き続き、代替えの利かない一部のタイプの抵抗器について説明します。今回は、ヒューズ(ヒューズブル)抵抗器と、ソリッド形抵抗器、金属板抵抗器を紹介します。

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その他の抵抗器

 あまり汎用的ではありませんが、表1の抵抗器にはそれぞれ固有の特徴があります。

表1その他の抵抗器の例
表1:その他の抵抗器の例

ソリッド形抵抗器

 高周波特性が良く、耐パルス性も良好なので他に置き換えができない品種なのですが抵抗値の経年変化や生産性が悪いために製造を打ち切る国内メーカーが多く、入手性が極端に悪くなっていますので、海外メーカー製しか入手できないのが現状です。しかし、中〜高パルス耐性の代替え抵抗器として、ディスクリート品ではセラミック基材にメタルグレーズ抵抗をジャバラ状に印刷し、距離を確保しつつコンパクト化を図ったタイプが開発され、チップ抵抗器でも1kVクラスの高耐圧パルス用抵抗器が開発されているので徐々にこれらの抵抗器に置き換わっていくと思います。

 ただし、耐パルス性は電圧が印加される端子間の絶対距離や絶縁塗膜の密着性に関係しますので形状はどうしても大きくなり、耐パルス抵抗器で小型のものは工程管理の状況や信頼性を実際に確認してから導入するようにします。

金属板抵抗器

 車の電気自動車化、太陽光発電など、大電流を扱う機器が最近では増えてきました。これらの機器において電流を制御するためにはどうしても電流を検出する必要がありますし、故障の影響度を考えると信頼性も考慮しなければなりません。最も信頼度が高い(≒単純)のは抵抗の電圧降下(E=I×R)を利用する方法です。

 しかし、電流も10Aクラスになると検出電圧を0.2Vとしても20mΩ、2Wの抵抗器が必要になります。
 さらにはスイッチング素子などの異常試験で発生する過大な短絡電流によって電流検出抵抗器がオープン状態になると過大な短絡電流が制御系などにも流入し、小信号部品で構成された制御回路に焼損などのダメージを与えます。最悪の場合には1次〜2次間に接続されているオプト(フォト)カプラにもダメージが広がり絶縁破壊にもつながる可能性を持っていますので検出抵抗器のオープン不良は絶対に避ける必要があります。

 “⨅字”状に折り曲げられたマンガニン線で構成される従来の電流検出抵抗器は低抵抗値(10mΩ〜数Ω)で電気・熱的安定性が良く、かつ必要な耐過電力性の特徴を持つものとして開発されましたが4端子構造にできない、はんだ付け性が悪い、組み立て後の修整作業が必要、といった課題を持っていました。

 金属板抵抗器はこのような点を改善したものとして開発、導入され、低抵抗値や耐過電力性を向上させるために金属板を所定形状に打ち抜き、端子をカシメや溶接で接続しています。
 表面実装型でははんだ付け性のために接続部に銅メッキや銅クラッドを施していますが大電流を流すと接続部の電圧降下が抵抗器本体の電圧降下に対して無視できない値となるため、4端子型の構造としたものも多くあります。
 価格的にはその構造からどうしても高くなりがちなのですが、品質や精度、マンガニン線の作業後の修整コストなどを含めると最近では金属板抵抗器に置き換えられつつあります。

 抵抗器による直接電流検出以外の方法としてはオシロスコープなどで用いられる磁気コアとホール素子を用いた"ゼロフラックス方式"などがあります。価格的には電子回路を用いているために高価格になりますが対応電流の広さからキロワットクラスのインバーターなどに用いられているようです。

 この他にもカタログに掲載されていないものなど特殊品が数多くありますので、ほしい特性の抵抗器がカタログにない場合はメーカーに問い合わせるのも良いかと思います。

※電流検出抵抗器はその用途から大電流の環境下で使われますが大電流を低ノイズで検出するには大電流や配線インピーダンスに対する注意が必要です。抵抗器自体が低抵抗、低インダクタンスでも制御回路側が高インピーダンスであれば配線のインダクタンスなどに誘起されるノイズが大きくなります。この場合には制御回路側のインピーダンスも低抵抗(1〜10Ω程度)で受け誘起されるノイズを低減します。


 各種固定抵抗器の解説は今回で終わり、次回は抵抗器の使い方について説明をしたいと思います。

執筆者プロフィール

加藤 博二(かとう ひろじ)

1951年生まれ。1972年に松下電器産業(現パナソニック)に入社し、電子部品の市場品質担当を経た後、電源装置の開発・設計業務を担当。1979年からSPICEを独力で習得し、後日その経験を生かして、SPICE、有限要素法、熱流体解析ツールなどの数値解析ツールを活用した電源装置の設計手法の開発・導入に従事した。現在は、CAEコンサルタントSifoenのプロジェクト代表として、NPO法人「CAE懇話会」の解析塾のSPICEコースを担当するとともに、Webサイト「Sifoen」において、在職中の経験を基に、電子部品の構造とその使用方法、SPICE用モデルのモデリング手法、電源装置の設計手法、熱設計入門、有限要素法のキーポイントなどを、“分かって設計する”シリーズとして公開している。


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