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IGBTやCMOS ICを使った回路に隠れた“落とし穴”Wired, Weird(5/5 ページ)

今回は、不具合が生じたIGBTやCMOS ICを使った回路例を紹介する。いずれの回路も、回路設計の“基本中の基本”をおろそかにしてしまったことが不具合の原因だった。

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絶対に入力はオープンにしない

 さて「CMOS ICの入力はオープンにしない」ということも、基本中の基本だ。ただ、時々、任される新米エンジニア向けの回路教育時に「CMOS ICの入力はオープンにしない」と教えても、あまり伝わっていないと感じた。そこで、教育時には、CMOS ICの入力をオープンにしたらどうなるかを実際に見せるのが最良だと考え、見せるようにしている。見せ方は簡単だ。入力をオープンにしたCMOS ICの出力端子にオシロスコープにつなげばよい。その結果の波形を図3に示す。


図3:入力をオープンにしたCMOS ICの出力波形

 図3では12V電源をCMOSICのMC14069インバーターに供給し、入力端子を10cm程の配線をつなぎ先端はオープンにして出力波形をオシロスコープで確認している。オシロスコープにはハムに重畳したノイズの波形が見える。この波形を見せることで、新人エンジニアの記憶の中にこの波形が残るだろう。CMOS入力をコネクターへ接続する時も同様でありCMOS ICの入力には必ずプルアップもしくはプルダウン処理してコネクターへ接続するように指導している。

 今回の不具合解析でIGBTやCMOS ICの入力がオープンにならないようにする処理の重要性を再認識できた。繰り返しになるが、「CMOS ICの入力端子をコネクタへ接続する場合は、必ずプルアップまたはプルダウンすること」をぜひ、心掛けてほしい。部品を減らせばコストダウンはできるが抵抗は安価であり、そのコストダウン効果は微々たるものだ。このような設計は誤った設計であり、顧客の現場で不具合になってかえって大きな損失が発生することになる。

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