工具は預けるべし!? 保安検査後に動かなくなった工具の修理:Wired, Weird(3/3 ページ)
今回は、飛行機に登場する際の保安検査後に動かなくなってしまった修理工具(LED付きルーペとテスター)の修理の様子を紹介する。急いでいるときは、機内に手荷物として持ち込みたいが、やはり預ける方が賢明のようだ――。
参考回路図をみてICの動作をチェック
Webにあったこのテスター用ICの参考回路図を図5に示す。
テスターICのFS9711-LP1の電源端子(=図5で赤い四角で囲った部分)が分かったので、安定化電源を3.0Vに設定し、細いジャンパーを使って電源端子に通電してみた。しかし、電流は10mA程度でICは破損してないようだ。なお、この時、液晶パネルは接続していなかった。
もしかしたら、テスター故障と判断した時に液晶のコネクター端子の接続がずれて出力と他の出力が短絡していたか誤って電源の接続端子を短絡させてしまったのかもしれない。基板の拡大写真を図6に示す。
図6で電源ピンの周辺が分りやすいように赤四角のマークを入れた。ちょうど、電源入力部にはタンタルコンデンサーと思われるパスコンC14が実装されていた。パスコンの両端の抵抗を測定し、テスターICは破損していないことが分かった。左側には液晶と接続する端子があった。基板を組み直し、電池を入れて通電してみた。図7に示す。
テスターのつまみを『Ω』に回したら、液晶パネルが表示された。テスターの端子を短絡したら0.1Ωの表示が出た。テスターは正常に電源が入り、正常な抵抗値の表示が出た。
故障したテスターを検査した時になぜ1Aを超える電流が流れたのはまだ不明だ。とりあえずはテスターが直って、仕事は継続できるようになった。
教訓、工具は機内に持ち込むべきではない
テスターの修理を終えたころに中国のサイトで手配した小型のテスターが届いた。2つのテスターを並べてみたらケースの色が違うだけで大きさも機能も操作もほぼ同じだった。2つのテスターを並べた写真を図8に示す。
図8の左側のテスター(UA18)の価格は、右側のテスター(PM3)の新品価格の3分の1程度だった。
テスターが2台になってしまい、ますます修理の仕事が増えてしまいそうだ。
あらためての感想だが、飛行機に乗るときは、工具は機内に持ち込まず、預けた方が無難だ。やむを得ず急ぎで出張する時は、15cm未満の工具を持っていくしかないだろう。またリチウム電池の検査は最近厳しくなり、テスターも持ち込み禁止になるかもしれない。
《次の記事を読む》
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- バックライトの修理――CCFLの入手困難も知恵で立ち向かう
今回は、バックライトが点灯しなくなったタッチパネル付き液晶ディスプレイの修理の様子を紹介する。冷陰極蛍光管(CCFL)を取り換えれば、修理できる内容だったのだが、同じCCFLが手に入らず、知恵を使うことにした――。 - 制御用PCの修理(前編) CPU横の膨れたコンデンサー
半導体製造装置に使用されている制御用PCの修理が舞い込んだ。「電源が入らない」という症状だったので電源の不良を疑ったが、CPU基板に故障原因があった……。今回から2回にわたり、制御用PCの修理の様子を報告しよう。 - 悲鳴を上げて壊れたプリンタを修理【分解編】
長年、愛用してきた多機能プリンタが先日、「キャー」という悲鳴のような音を出して、動かなくなってしまった。代替品が届くまでの間をしのごうと、修理に挑戦してみた。 - シーケンサの修理(1)4級アンモニウム塩との闘い
シーケンサの修理依頼があった。例のごとく、電源が壊れているようで、修理を進めていくと、コンデンサの液漏れが確認された。洗浄し、部品を取り換え、修理完了と思いきや……。今回から数回にわたり、このシーケンサ修理の様子を紹介する。 - 電源修理のコツ ―― 発熱部品と空気の流れ
今回は、“電源修理のコツ”を紹介したい。電源は「電解コンデンサーを全て交換すれば、修理できる」という極端な話もあるが、効率よく確実に電源を修理するためのポイントを実例を挙げながら説明していこう。【訂正あり】 - “時限装置”を取り除け! 5分で暗くなる液晶の修理
今回は、通電後、5分で表示が暗くなってしまう液晶パネルの修理の様子を報告する。なぜ、5分ほどで決まって暗くなるのか――。まずは、原因から探っていこう。