記録計の内部構造と、使用時に注意したいポイント:記録計/データロガーの基礎知識(2)(3/5 ページ)
今回は記録計を利用する際に必要な基礎知識を解説して、信頼性の高い測定結果を得るための方法や効率的に測定する方法を紹介する。【訂正あり】
記録計を利用する上での留意点
ノイズ対策
記録計は信号の変化のみを記録するのが目的であるが、ノイズが混入して正しい記録ができない場合がある。
ノイズ対策は下記の3つの視点で行う。
- ノイズ発生そのものを小さくする
- ノイズが記録計に伝わらないようにする
- 記録計自身がノイズの影響を受けない能力を持つ
ノイズ発生源での対策ができない場合は、ノイズが信号に混入しないように記録計に接続される信号線をノイズ発生源やノイズの伝送線路と分離したり、信号線にツイストペアケーブルやシールド線を利用したりする方法がある。またノイズ源と記録計の接地を分離する方法や、商用電源からのノイズの混入を防ぐために絶縁トランスを介して電源を供給する方法もある。
記録計は入力が絶縁されているためノイズの影響は受けにくいようになっているが、記録計自身が電源ノイズの影響をより受けないようにするためには、A/D変換器の積分時間を商用周波数に合わせて20ミリ秒もしくは16.67ミリ秒の整数倍にしたり、入力にノーマルモードフィルターやコモンモードフィルターを挿入したりする方法がある。
記録計とPCなどを接続する通信線もノイズの影響によって誤動作を生じる可能性があるので、ノイズ対策が必要な場合もある。
停電対策
電源事情が悪い場合(停電、瞬停)は、一時的に記録が中断しても、記録済みのデータは保存され、電源が復旧した後に記録が継続できる仕組みを持つ必要がある。
基準接点補償
温度差によって起電力が発生する熱電対を使って温度測定をする場合には、測定対象の温度は「熱電対で得た温度に端子盤温度を加えた温度」となる。
この補償には2つの方法がある。1つは熱電対の端子盤温度を常に0℃にする外部冷接点補償器を使う方法である。氷を使って0℃を実現するものと、ペルチェ素子を使って0℃に温度制御するものがある。この方法は精密な温度測定を行う場合以外はあまり使用されることはない。
もう1つは、測温抵抗体、サーミスタ、トランジスタなどの温度センサを基準接点補償回路として組み込む方法である。熱電対が接続された端子盤と温度センサとの温度を均一化するため、端子盤にはアルミ板が埋め込まれている。
記録計を利用する際には端子盤の温度が一定になるように設置には下記の注意を要する。
- 端子盤近くに熱源がないようにする
- 端子盤に直射日光や風が当たらないようにする
- 記録計内の温度上昇を避けるため放熱をよくする
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