記録計の内部構造と、使用時に注意したいポイント:記録計/データロガーの基礎知識(2)(4/5 ページ)
今回は記録計を利用する際に必要な基礎知識を解説して、信頼性の高い測定結果を得るための方法や効率的に測定する方法を紹介する。【訂正あり】
PCなど制御装置との組み合せ
通信機能を持つ記録計はPCやプログラマブル・ロジック・コントローラ(Programmable Logic Controller/以下、PLC)などの制御装置と組み合わせて使われる場合が多い。ここでは記録計に搭載されている通信インタフェースの種類とPCからの操作について述べる。
通信インタフェース
記録計にはさまざまなインタフェースが用意されているが、それぞれの特長が異なるので目的に合わせて選択する必要がある。
さまざまな通信インタフェースを変換するアダプターが販売されているので、システム構築に利用することができる。しかし、機能の一部に制約が生じることがあるので注意を要する。
【1】 GP-IB
1960年代後半に最初はHPIBとして登場し、1975年に国際標準として規格化された測定器専用の通信インタフェースである。歴史が長く、測定器の制御に向く機能や耐ノイズ特性が優れているため、多くの測定器がGP-IBに対応している。
しかし、PCに専用のGP-IB通信インタフェースボードを組込む必要があることや、専用のGP-IBケーブルが必要など、コストが掛かるため利用は減少する傾向にある。
【2】 USB
ほとんどのPCに標準で搭載されているため、コストを掛けずにPCと接続できる長所がある。最近の測定器はほとんどUSBに対応している。
しかし、USBにはコネクターの抜け止めがないため、利用には注意が必要である。またケーブル長は最大15mという制約がある。
【3】 LAN(Ethernet)
ほとんどのPCに標準で搭載されているため、コストを掛けずにPCと接続できる長所がある。最近の測定器にはLAN対応しているものが増えている。
LANは高速で遠隔から測定器を制御できる特長を持っているが、利用にはネットワークの知識が必要となる。
【4】 RS-485/RS-422/RS-232
古くからあるシリアル通信方式で制御機器などでは対応している機種が多い、RS-232は最大伝送速度の規格では20kビット/秒(bps)と遅いが、RS-422やRS-485の最大伝送速度は10Mbpsあるため記録計では問題なく使える。
ほとんどのPLCにはRS-485/RS-422/RS-232が搭載されているため、コンパクトな生産システムの構築に有効である。
PCの操作環境
記録計は紙に測定結果を記録する時代が続いたが、最近ではPCなど外部の装置に記録した結果を転送して、異常波形の検索、高度な解析、制御などを行うことが一般的になってきた。
最新の記録計では専用のソフトを使わないで、Webブラウザから記録計を直接アクセスして、基本的な設定や測定結果の表示できる機能が実装されているので、簡単に操作ができるようになっている。
高度な機能や複数の機器を接続して測定システムを構築する場合は、記録計メーカーやソフトハウスから提供されるソフトウェアを利用するか、「LabView」や「VEE」などシステム開発ソフトウェアを使って自ら制御ソフトウェアを作ることになる。
インターネットにつながれたPCを使ってシステムを構築する際には、ウィルス対策など十分なセキュリティ対策は必須となる。
コンパクトな測定システムや制御システムを構築する場合は、PCよりPLCの利用が便利な場合がある。その際はPLCメーカーが提供するソフト開発環境を利用することになる。
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