温度センサーの種類と「熱電対」「測温抵抗体」の使い方:記録計/データロガーの基礎知識(3)(3/4 ページ)
今回は記録計で測定する対象として最も多い温度について解説する。温度測定は研究開発から生産の現場まで応用範囲が幅広く、温度センサーの種類もさまざまあり、用途や測定対象に応じて選ぶ必要がある。利用頻度が高い熱電対と測温抵抗体を中心に解説する。
白金測温抵抗体の使い方
記号 | 0℃における抵抗値 | 抵抗比率 |
---|---|---|
Pt100 | 100Ω | 1.3851 |
Pt10 | 10Ω | 1.3851 |
白金測温抵抗体は高精度で安定した温度測定が必要な場合に使われる。ただし測定できる温度範囲はセンサーの種類にもよるが、最大で600℃程度までの制約がある。
測温抵抗体の中で白金測温抵抗体は最もよく使われる。白金測温抵抗体にはJIS C1604規格で定められた。2種類のセンサーがある。
クラス(許容差)についての規定もあり、下記の2種類がある。
クラスA(A級) 許容差:±(0.002×[t]+0.15)℃
クラスB(B級) 許容差:±(0.005×[t]+0.3)℃
※)[t]は、測定温度の絶対値
測温抵抗体は記録計から電流を流して、測温抵抗体の両端の電圧を測定して抵抗値を求めて温度に換算する。接続には下記の3つの方法がある。
2導線式
測温抵抗体と記録計間の配線が2本で済む利点を持つが、素子の抵抗に加えて導線抵抗も含めて測定されるため、導線抵抗の補正を必要とする。また温度による導線抵抗の増減までは補正できない。このため記録計と測温抵抗体が比較的近距離の場合のみ用いられる。
3導線式
記録計など工業用計器として一般的に用いられる結線で、3本の外部導線の抵抗が同じであれば、記録計と組み合わせることで導線抵抗の影響を実用上無視することができる。
4導線式
電圧端子と電流端子それぞれ2つ、計4つの端子を持ち、導線抵抗の影響を受けない測定ができるため標準温度センサーなど、精密な温度測定に使用される。
白金測温抵抗体は熱電対に比べて精密で安定した測定は可能であるが、温度測定をする抵抗体の体積が大きいため、熱応答が遅い傾向がある。また抵抗体に電流を流すため、自己発熱の影響のあることを考慮するなど精密測定をする際には注意が必要である。
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