ファンクションジェネレーターの用途と校正:ファンクションジェネレーターの基礎知識(3)(5/5 ページ)
ファンクションジェネレーターはマイクロヘルツオーダーの超低周波から、メガヘルツオーダーの高周波まで発振ができるため、電気/電子回路の評価以外にも、部品、材料、機械、構造物、生体など幅広い用途の試験に使われている。ここではいくつかの応用分野について紹介を行う。また、ファンクションジェネレーター校正方法についても紹介する。
ファンクションジェネレーターの校正
ファンクションジェネレーターの性能が仕様範囲であるかは定期的な校正をすることによって確認する。信号源であるため振幅と周波数の特性を校正することが基本となる。校正項目は測定器メーカーによって規定されている。ここではエヌエフ回路設計ブロックの「WF1973」「WF1974」の事例を示す。
周波数確度試験
基準となるユニバーサルカウンターを用いて、正弦波(1MHz、10Vp-p/開放)を測定して、仕様内であることを確認する。DDS方式のファンクションジェネレーターは水晶振動子を基準に周波数を決めているため、経時変化は少ないが、水晶の加工時の歪みが時間経過によって解消されたり、水晶振動子表面に密封ケースから出る微量ガスが付着したりするなどして周波数が変化する。
振幅確度試験
振幅を変化させたときに確度が保障されるかを確認する。1kHzの正弦波を20Vp-pから0.02Vp-pまで異なる振幅を発生させ、基準となるデジタルマルチメーターを使って実効値測定を行う。
DCオフセット確度試験
DCオフセット確度はDC電圧のみを発生したときと、DC電圧を0Vとして、1kHzの正弦波を重畳したときのAC+DCの交流の振幅を測定する2つの方法を取っている。いずれの測定も基準となるデジタルマルチメーターを用いて行う。
周波数特性確度試験
電子回路は周波数特性を持っているため、ファンクションジェネレーターの周波数/振幅特性を測定する。1kHzから最高発生周波数の30MHzまでを複数の周波数で正弦波の振幅を測定する。100kHzまではデジタルマルチメーターを使って振幅を実効値測定し、100kHz以上は高周波パワーメーターを使って振幅を測定する。
波形歪み試験
発生した正弦波の波形には歪みやノイズが重畳している。全高調波歪み、高調波スプリアス、非高調波スプリアスを基準となるスペクトラムアナライザーを用いて測定を行う。
方形波試験
方形波はディーティ比と立ち上がり時間、立ち下り時間の設定ができるため、基準となるユニバーサルカウンターやオシロスコープを使って測定を行う。
2チャンネル間時間差試験
2相の信号を発生することはできるファンクションジェネレーターでは同じ周波数の波形を異なる位相で発生することができる。WF1974では180度の位相差がある10MHzの正弦波と方形波で正しく位相設定されているかを基準となるユニバーサルカウンターを用いて測定する。
おわりに
ファンクションジェネレーターは市場が要求するさまざまな波形を発生できるように進化してきた。現在のファンクションジェネレーターはデジタル技術を積極的に使った製品になっている。また、PCとの組み合せが進み、複雑な波形をPC上で構築することはできるようになってきた。
IoTが普及する時代が間近に迫っており、多くのセンサーやアクチュエーターの利用が拡大すると期待されている。さまざまなIoT機器の評価にはファンクションジェネレーターが必須となり、活躍する場は多くなると思われる。また今後も市場の要求を反映した今までにない新たなファンクションジェネレーターの登場することが期待される。
転載元「TechEyesOnline」紹介
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