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プログラマブル直流安定化電源の構造や便利な機能プログラマブル直流安定化電源の基礎知識(2)(7/7 ページ)

直流電源はさまざまな分野で使われているため、多くの製品が市場にある。今回の解説では製品の開発や生産の現場で使われているプログラマブル直流安定化電源のうち、対象物にエネルギーを供給する試験用電源についての基礎知識を紹介していく。連載第2回の今回は、「構造」や「便利な機能」「負荷に接続する際の注意」などを紹介する。

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利用上の一般的な注意点

 直流電源を安全に利用するためや、直流電源を再現性のよい試験環境として使うには注意が必要である。

供給電力

 大きなエネルギーを消費する大型の直流電源では、配電盤から入力電源を供給する。そのため、配電盤の受電容量をあらかじめ確認しておく必要がある。また、同じ配電系統に接続されている機器に影響をしないかを確認する必要がある。配電盤から直流電源まで接続するケーブルは、直流電源の取扱説明書に指定されているものを使用する。

 多くの直流電源をラックに組んで利用する場合は、リーク電流によって漏電ブレーカーが動作する可能性があるので、電源メーカーにあらかじめ相談するのが望ましい。

 小型の電源ではコンセントにプラグを接続して利用するが、電源コードやプラグの容量をあらかじめ確認する必要がある。

 もし発熱する場合は配線にゆるみがないか、電源コードの選択に誤りがないか確認する。

 接地は安全のために必ず取る必要がある。また、樹脂製の端子カバーがあるものは必ず取り付ける。

冷却

 直流電源は、発熱するために冷却が必要になる。冷却が十分できない環境で利用すると、過熱保護が動作することがある。また電解コンデンサーや冷却ファンは温度が高いほど寿命が短くなるため、製品寿命を長くするためにも、十分な冷却は必要である。

 また、発熱する装置の近くで直流電源を利用する場合は、吸気口に熱風があたらない向きに設置する。

出力配線の選択

 直流電源の出力から負荷に配線するケーブルは小さな抵抗値を持っているため、大きな電流を流すと発熱する。発熱が大きいと火災の恐れや、端子などが損傷する危険がある。このため、配線材の選定は慎重に行う必要がある。

 下記には、菊水電子工業が推奨する配線材の種類と電流の関係を示す。

公称断面積[mm2 AWG 許容電流[A]
(Ta=30℃)
菊水電子工業
推奨電流[A]
2 14 27 10
5.5 10 49 20
8 8 61 30
14 6 88 50
22 4 115 80
38 1 162 100
80 3/0 257 200
表2: 負荷用電線の電流容量(菊水電子工業 PWR-01の取扱説明書から抜粋)
注1)この表は周囲温度30℃の空気中において、単独で横に張られた、最高許容温度60℃の耐熱ビニール線に流せる電流容量としている
注2)許容電流は電気設備技術基準 第146条(省令第57条)「低圧配線に使用する電線」から転載

 出力配線が設置される環境が30℃以上である場合または配線を束ねる場合は、推奨電流を上記の記載より小さくする必要がある。

ノイズ対策

 直流電源には、制御線や出力から負荷への配線がある。これらの配線に、外部からのノイズが混入しないようツイストペア線を使って配線を行う。ただし、出力配線はツイストペア線が利用できない場合がある。

 シールド線の利用も有効であるが、シールド線をどこに接続するかは取扱説明書の指示に従って行う。


図18:配線のノイズ対策

磁界対策

 直流電源にはトランスやチョークコイルが使われているため、直流電源から磁界ノイズが発生している。このため、磁界の影響を受けやすい測定器は干渉を防ぐために、直流電源から離れた場所に置くことが望ましい。

地震対策

 大型の直流電源は重量があるので、地震で転倒した場合は人的な被害が発生する危険がある。複数の直流電源や重量のある大型の直流電源をラックに実装する場合は、地震や輸送時に転倒しないようにラックの配置に考慮が必要である。また、ラック総重量に合わせた床への固定方法を取る必要がある。

 また、床の構造によっては、重量物である大型の直流電源の設置が耐荷重不足で難しいことがある。大型の直流電源を設置する場合は、床の耐荷重を調べて、不足した場合は補強することが望ましい。


転載元「TechEyesOnline」紹介

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